やっぱりLiveが好き

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「人間国宝の夕べ」 2022/10/26,27 八千代座①

今年5月の三十周年記念公演の際、出演されなかった杵屋勝国さんの演奏と、玉さまとの共演、トークの公演に行ってきました。

 

八千代座の外にいつも立てられているのは『坂東玉三郎丈』の幟だけど、今回違ったのは『杵屋勝国さん』宛の幟があったことでした。色が真新しい感じがしたので、今回の為に作られたのかも。

他に『八千代座三十周年記念写真集』が販売されていて、事前の予約分と同じく玉さまの特別カードがついたもの。通販でも購入できるようですけど、そちらには付いてないのだそう。

 

坂東玉三郎八千代座三十周年メモリアル写真集発売記念 スペシャトーク

開演時間になると、緞帳が開き、毛氈?が敷かれた長椅子が上手と下手にそれぞれ一つずつ。下手側に写真集が置かれていて、上手側には玉さまがいらして、さらに中央にでてこられ、マイクを使ってお話が始まりました。

26日は「八千代座のことについては写真集書かれているので(笑)」と何度か仰って、その話は写真集にお任せ、という感じのお茶目な玉さま(笑)

八千代座で、(口上は別として)トークだけのコーナーがあるのは今回が初めて出そう。

 

「何日か来てくださるお客様もいらっしゃるので同じ話にならないように」ということで、あれこれお話しているうちに26日は『お天気にまつわるお話』になりました(笑)

「『この話をしよう』と思っていてもお客様の前に立つと違う話をしたくなる」そうで、その日の雰囲気やお客様の感じからそういったインスピレーションを受けたり

感じ取ってらっしゃるんだろうなと思います。

 

<お天気の話>

たしか姫路城で鷺娘を屋外で演じた時や、屋外の能楽堂の時に、雨予報や台風予報だった時のこと。
当日も雨がひどく降っていて、スタッフさんやその時泊まる宿の方が浮かない様子で心配された時に、玉さまは「(公演時は)晴れるから。終わったら降るんじゃない」と言いきったら実際その公演時間だけ雨が止んだそう。そして終わると雨が降りだすこともあり、そのとおりになったとか。
また風があって雨避けのものがひっくり返って客席に雨がかかって悲鳴が起きることもあり、そんな状態で公演をするのかスタッフの方に聞かれたときも、玉さまは「大丈夫」というようなことを言いきっていたら、やっぱり止んだそう。

公演中に、もしかしたら座るところが少し濡れたりといったことがあったかもしれないけど、天気自体は雨も降らず大丈夫だったそうです。

何の根拠もなかったけど、そうやって言い切るとそうなったりする、もちろん天候が悪い時もあったけど、仰っていて、

実際その時、ちょうどお天気の観測の記録のようなもので見ると、公演時間が雨の降らない谷間にあたっていたとか。偶然というよりも言霊が現実を作っていたんだなぁと私は思ったんですけど、舞台を引っ張る人がそういう意識であることは凄く大きい事なんだなと思います。

 

雨がたくさん降っている状況のことを「ざんざん降り」と表現されていて、玉さまはその言葉をお使いになるんだな、と思いながら聞いてました(笑)

 

次の日は特にテーマを仰ることはなかったものの、お一人でトークの時間かく、八千代座に来るきっかけのお話(澤村藤十郎さん~金丸座のお誘いからのこと)はされていました。でもこのお話も両日されてたかもです。

あと、昔は口上を坂東弥五郎さんという方が務めていらしたそうですが、その後、現在のように玉さまが口上をするようになったとのこと。話をするのは得意ではないけれど、そうして「口上を始め、トークと素踊りまでするようになり(笑)」とご自分で笑いながら仰っていました(笑)

 

<お稽古について>

確か27日は、お稽古についてのお話もされてました。踊りを養母の藤間勘紫恵さんとあともう御一方(お名前忘れてしまいました💦花柳流のどなたかだったかと思います)のお二人から習い、義太夫、お習字、三曲(箏、三味線、胡弓)、お花、お茶などを習っていたそう。他にもあったかもしれません💦

「冗談半分で聴いてほしい」と前置きがあった上で、「お稽古好きで~、と思われているかもしれないですけど、あまり好きではなかった」そうです(笑)

こんなに毎日お稽古をしていたので、舞台へ出るのに間に合わないようなときは、玉さまがそのように言うと、お稽古をしたことにしてくれて、お茶漬けまで用意してくださっていたところもあったとか。玉さまは食べている時間がないこともわかっていて、ということだったのかなと。実際、劇場に付いて、15分で食事をし(その当時食べ物は玉さまにとってガソリンのようなものだったそう)その後設えを45分位(この数字は曖昧です💦)そして舞台本番、このような生活だったそうです。

あと、今回八千代座にも来てらっしゃった川瀬露秋さんのお義母様、白秋さんがお稽古をつけてくださってたそうなんですが、白秋さんが「とんだ」方で(笑)、「ちょっと一杯ひっかけちゃったから今日のお稽古は無しで♪」と口調を真似しながら仰る玉さま(笑)言葉はもっと丁寧だったかもしれないので大体の雰囲気で感じてください💦

そして、三曲が出来上がったと白秋さんが判断されたころ(玉さまご自身は出来たとは思っていなかったが、という前置きがあり)お稽古に行っても、筝を包みから開けて、「あら綺麗ですね~」と確認してはしまい、『お稽古終わり』ということになったり、「もうお稽古つけてくれないのかな」と玉さまは思っていたそうです(笑)

 

あとお習字を習っていたとき、玉さまは左利きなのでそのことを先生に伝えると、『左利きでも何でも関係ない』という『書は〇〇だから』と言われたそうですが、それも何だったか忘れました💦実際に、玉さまの向かい側にいらっしゃる先生が、玉さまが書いてらっしゃる字(の向きをそのまま)を書いたそうで、利き腕がどちらかと言ったことは関係ない、ということがわかった一言でした。

玉さまが、「字は記号なのか、意味なのか」と先生に聞いた時、文字は絵(多分象形文字)からできている=意味である、ということも知ったそう。←こちらも曖昧過ぎるので話半分でm(__)m

そのように本当にたくさんのお稽古をしていた玉さまだけれど、お稽古してないがしたことにしてくれた先生や、色んな方がいらしたことをお話下さり、大変なことが多かったはずなのに、楽しいエピソードを臨場感たっぷりにしてくださいました。

 

 

<質問コーナー>

八千代座入り口前の当日券売り場に質問用紙が用意されていて、あまり用意しても多すぎて読めないものが多くなってしまうので、各日20枚限定だったそう。トークコーナーでは結構読まれていたので、1/3くらいの高確率だったと思います。「思い浮かぶ質問がない」と仰ってる方もいたけれど、以前から聞いてみたいことがあったので私も質問を出したものの26日には読まれず、27日に読まれました!!

二日間の質問で覚えていることを書いてみたいと思います。

 

ちなみにこの時だけスタッフの方が出て来られて、まず三十周年記念写真集の宣伝を少しされてから、質問BOXからランダムに引いて読み上げ、玉さまが答えてくださるというシステム。私も家に届いた写真集を事前に読んで行ったので、どれだけ素晴らしいものかわかるんですが、本当に玉さまファンの方はもちろんのこと、歌舞伎のファンの方にも読んでほしいほど中身の濃いものだったので、もっと細かくプッシュしてもいいような、そんな気はしました(笑)

 

・生まれ変わったら何になりたいですか?

RED Chair というYouTubeでの配信で答えたことがある、と仰ってたと思うんですけど、そこでの回答のように「生まれ変わらず宇宙を(宙を)漂っていたい」そう。言葉は少し違ったかもしれないですけど、そういう内容でした。「どこまで行っても人間の悪はなくならない、だから、善と悪の善ではないけれど、(悪ではない)宙に居たい」のだそうです。

 

・リラックス法は?

→(もしかしたら違う質問の回答だったかもしれないです💦)昼寝。

 

・杵屋勝国さんとの一番の想い出(一番印象に残っている演目だったかも)

道成寺。その道成寺や(確か)鷺娘を最後に演じたのはこの八千代座だった、というお話でした。その前に歌舞伎座で演じたものの、それが最後ではなく八千代座で終わることにしたのだそう。そういう時も含め、勝国さんとすっとご一緒してきたことをお話されてました。

 

・山鹿で一番好きな食べ物は?

→スイカ。火山灰が降るのでビニールシート(か屋根?)を開けたり閉めたりするので、人工的でない自然な甘さが出るのだそう。他に有明海のお魚、お米なども挙げられていました。

 

・山鹿の温泉は好きですか?

→山鹿の方はあまり大きく宣伝をしないけれど、ここの温泉は日本でも五本の指に入るのでは、という風に仰ってました。「ぬるめなので長く入る必要があるけれど」と玉さまが仰っていたので、それを聞く前からも長くは入っていたけれど、さらに気持ち長く入って玉さまの言葉を思い出してました(笑)

 

・(最近になって歌舞伎を観始めた20代の方からの質問)観ることが叶わなかった過去作品がたくさんあるのでやるせなくなることがある。観劇者としてどうすべきか?

→「今、たくさん観てください」と笑顔で茶目っ気のある感じでお答えされてた玉さま(笑)その上で、「昔のものは映像で残っているので、ただ映像の表面を見るのではなく、その奥を見てほしい」とのこと。その役者さんがどのように演じて、どうお稽古をされてきたのか、という、見えているその向こうを感じ取ろうとしてほしい、と。

 

・夜見た夢で印象に残っているものは?

→そんなに夢は見ないけれど、一番良くみるのは六代目歌右衛門さんの夢だそう。歌右衛門さんが舞台に出られなくなって、急遽出ることになったものの、何のお役かもわからないのに舞台に出されてスポットライトを浴びたりする夢で、台詞も何を言ったらいいかもわからない、と思っていたり、無茶すぎるシチュエーションが多いそうです。

 

・休日は何をしていますか?

→演劇、映画、美術館に行くが、なかなか良い演劇も映画もない、とのこと。他にも何か仰ってた気がするのですが忘れてしまいました💦

 

・引抜などで後見としてお弟子さんがお手伝いされるとき、お弟子さんの気遣いを感じたり、玉三郎さんが工夫されたりしていることはありますか?

→後見というのは主役と同じようにお客様から足先まで見られるので、(すり足だったかな?)歩き方など様々なことが美しくないといけない。引抜で引き抜く方、引き抜かれる方、両方の息が合うことが重要。・・・この質問私がしたんですけど(笑)自分の質問だと舞い上がることもあって、かなりうろ覚えです💦後見は影の存在ではなくて主役と同じように考えてる、と仰っていたか、そうではなかったか(笑)

そして、お弟子さん→気遣い、玉さま→工夫、と書いたのは、実際ご本人がお話されるので、玉三郎さんがされている「気遣い」と書くと、話ずらいかと思ってそうかき分けたんですけども、この回答の最後の時につけたしのように「気遣いされていますけど、私も気遣いしています」と言われてしまって、完全に裏目に出てしまったなぁと(笑)💧

そこは反省しました(笑)

 

他にもあったかもしれないですけど、今覚えているのは以上で、言葉やニュアンスが違うかもしれません。なので大体こういう感じ、くらいに見てもらえればと思います。

トークの時間は約30分より長かったと思います。ちらっと聞こえた話によると、日によって時間がだいぶ違ったみたいで、行った時の運かなあという気がします(笑)

 

トークが終わると、次は勝国さん達の演奏、そして玉さまの阿古屋と勝国さんの共演。その②へ続きます。