やっぱりLiveが好き

目の前の空間を味わうのが好きな人の記録🍀

「坂東玉三郎 御園座特別舞踊公演」9/7 御園座

書きたいことがたまってる!!!八月の納涼と、七月コンサートツアーラストの福井!一つ前の南座も中途半端だった気がする💦やっぱり書かないと気持ち悪いし書いていきたいからぼちぼちやっていこう。あと世界文化賞!!!全部書くぞ!!

ということで初めての御園座。外観がちっちゃい博多座みたい。タイトルに「エアウィーヴ創立15周年記念」とあるようにロビーにもエアウィーヴお試し、客席内の座席の上にもエアウィーヴのクッション。
玉さまサインタグ付シアタークッションというのも売られていて、アンケートに答えると抽選で当たるらしい。
というエアウィーヴ一色の中、始まり。

<口上>

最近の江戸時代の女形の衣装ではなかった気がする!久々に裃でのご登場。
ここ最近よりパーンと高く張ったお声でのご挨拶に聴こえた気がする。玉さまの口上は、芝居のときとはまた違うこのお声が聞けることが嬉しい。何度体験しても、「あぁぁこの時間大好き!!」ってなる。

御園座が再開場してからは一年以上経ってからだけどやっとこちらに伺えたということ、中日劇場があった頃からの名古屋との長いご縁ということと、その中で「長い間お相手を勤めさせていただきました仁左衛門さん襲名の時にもこちらに伺い」のお話しもあり、やっぱり玉さまからにざさまのワードが出るのは嬉しいなぁ。力強いうなづきの気持ちと共にお二人を思い浮かべてふわぁって舞い上がる感じになる。

「今回の公演はエアウィーヴさんに呼んでいただいて」とのこと。エアウィーヴとの出会いはCM?何かの撮影で、その現場に愛想のよい方がいらっしゃるけど営業さんかな、と思っていたら会長さんだった、というエピソード(笑)
そこからご縁が始まったそう。今では飛行機の中とかいろんなところにエアウィーヴが使われているから、それを見ると会長さんの顔が思い出されるらしい(笑)

今日は真央さんも来てくださっていて、と、エアウィーヴつながりの浅田真央ちゃんもいらしてたらしい。ジャンルは違えど同じ表現者として通じるものはあるのだろうなぁ。

「傾城雪吉原」は、元のものはかなり悲惨なもの、結末?らしい。それを玉さまが改訂して季節を感じられる、また違うものにされたとのこと。元のものはどんなものなんだろう。今回それを初めて耳にしたので、それも凄く気になってしまった。

連日満席ということ、なかに入れないお客様もいらした、ということ。そのことは御園座さんともお話しして今後なにか考えたい、と仰ってた。
…今回の一般発売の状況を聞くと、ほとんど一般にまわらなかった気がする。
御園座といえば企業等にチケットが大量に配られているような話もあったりしたけど、今回はそれプラス、エアウィーヴさんがどーんとついてらっしゃるからか戻りも出ず、そして一般にもさして回らず…本当のところはどうかわからないけど、そんなに企業が持っていってしまうなら貸し切り公演と一般とを分けてほしいなと思う。貸し切りなら文句もないし。すべての公演が半分くらい、半分以上?そのような状態なら観たい行きたい観客側だってとれなくて落ち込んだり遠い席しかなかったり、よいことはないんだから。
その辺をほんとに真剣に考えていただきたいなと思う。なにより玉さま自身からそのお言葉があったから、今後にはなにかしら対策はされると思うけれど。そういうことまでちゃんと関わって考えてくださることが有難いけど、玉さまにそこまで考えさせないで!と思う。

今後のことについて。「後輩と」などいろんな形で、のような模索された表現が多かった気もしたけど、でも今後のことを仰ってくださることが嬉しいし、そのとき観られるものを大事にしたい。

<秋の色種>

八千代座でお一人で演じられたとき、そのあとにコタさん梅枝さんとご一緒でお琴の演奏があったとき、松竹座で壱太郎さんと共演されたとき、いろんなバージョンがあったから、玉さまお一人では久々に拝見できたかも。なのでお一人バージョンどのようだったかちょっと記憶が薄れぎみだったけども、お一人バージョンがまた新鮮だった。
揚幕から現れた玉さま、ポスターと同じ藤色のようなお着物でものすごーくたっぷり花道での舞をみせていただけた。
御園座って花横が二席ずつだけだから、あー!花横羨ましい!って帰り際に猛烈に思った!!二席というのを知ったのが終わったあとだったけど(笑)

勝四郎さんの声がすごーく伸びやかでしびれたし、勝国さんの三味線もかっこよくって、やっぱりこのお二人は玉さまの公演に欠かせないしこのお二人であってほしい。秋の色種って楽曲も独特だなぁと思うところがあり、全然わからないけどきっと凄く難しいのではないかなぁ。あと虫の音が入るところ、蛍の明かりとして照明がおりて光ってくるところ、そこに玉さまが虫の音色に耳を傾けたり、静かな情景が浮かぶ様、すすき?を整えて、をぱちん!て切るしぐさのところ、そのときに、扇子を閉じてぱちんと鳴らすところも無性に好き!!


そして玉さまが舞台袖へ。お着替えされた玉さまが登場。先日の老松の時の衣装と同じように見えたけど黒地に裾中心にそこまで多くない大きすぎない金の刺繍。黒いお着物になると玉さまの表情も変わっていて全身からきりっとした雰囲気で溢れてる。それがとてもカッコいい。

<傾城雪吉原>

幕があがりずらっと並ぶ長唄の方たちに会場が沸く。でもこのときはまだ一枚の薄いスクリーンが長唄さんたちの前におりている状態。
そして中央のセリから玉さまが登場。傘をもって客席に背を向けた状態。この登場からほんとに美しい!!
客席に正面を向きつつ、雪降るなか白地の打ち掛けを羽織っていて、高下駄でゆっくり歩く。その様子に恋人を思う気持ちがあふれていて、見ているだけで切ない。
その時間もたっぷりあって、その後に玉さまが傘を置いて高下駄を脱ぐときに玉雪さんが出ていらして、その傘を下に置くことをされているのだけど、友達曰く「音がしないくらいそっと置いてた」必要ない音をさせないっていうのは舞台を作るうえでもとても大事だと思うし、本当に繊細なことをさてるのだなぁと思う。
打掛を外して季節の移ろいを感じられる時、その中で夏の暑さと秋の夕暮れのようなときの照明の当たり方が好きで、舞台の横、斜め上かな?その辺りから照らされ、いかにも陽が差しているように見える。そして玉さまの表情に仕草に、気候、温度さえも感じられるよう。
この演目では衣装替えはないのだけど、打掛を最後にまた羽織る。その羽織り方が、まずは左側だけ、その後に右側にも掛ける(腕を通してたかな?今月この演目の放送があるので確認してみる)のだけれど、襟の部分に何の狂いもなくきれいには打掛がかかり、その「羽織る・着る」という様子がこんなに美しいものなのかとため息が出る。傾城雪吉原を観ていて、こんなに美しくてこんなに心に何かが残る玉さまが好きでしょうがなくて泣けていた。ただそれだけではないのはもちろんそうだと思うんだけど、理屈じゃなくて感覚で、心にふわーっと、でもとても大きな何かを残していく。こんな素晴らしい方がいらっしゃるんだ、と今同じ時を生きていられることが本当に嬉しくてしょうがない。

<カーテンコール>

幕が降りてやまない拍手。歌舞伎座はなかなかやりにくいけど、こうして気持ちを表せるところが地方公演のいいところだなぁと思う。しばらくして幕が上がって、お辞儀をされた玉さまが真ん中にいらっしゃる。上手、下手中央と見てお辞儀をしてくださり、幕が下りる。それでも鳴りやまない拍手にもう一度幕が上がろうとすると「もう一度玉さまがご挨拶してくださるのか!!」というさっきよりもさらに「嬉しい!」という声にならない声でいっぱいの客席になり、再び玉さまが登場してくださる。今度は立って上手へ、下手へ、そして下手で打掛が客席に見えるようにさっと後ろを向いて決めてくださり、そのお姿、お気持ちにさらに客席が湧く。少し後ろへ下がって長唄の方達の方へ手をかざし、その演奏、歌、玉さまのそうしたお気持ちに、この日一番といってもいいくらいの拍手が起こる。このように拍手させていただける、ということもとても嬉しい。
御園座二日目の公演は二回のカーテンコールでした。回数ではないけれど、でもその一回一回の拍手に気持ちを込めて、玉さまも演じている時とはまた違う表情パッとした晴れやかな表情であり、有難いといったお気持ちのにじみ出ている表情でもあり、本当に気持ちがいっぱいになる嬉しくてとてつもなく満たされた時間だった。