やっぱりLiveが好き

目の前の空間を味わうのが好きな人の記録🍀

「熱海座 坂東玉三郎 舞踊公演」 11/25 MOA美術館 能楽堂

能楽堂での5日間舞踊公演の千穐楽に行ってきました。こちらといえば能楽堂までの長い長い七つのエスカレーターを上らねばなりません(笑)なので開演30分前熱海駅発のバスでなく、その前のバスで来たために少し時間がありまして。

入口のところに紅葉の看板があったのを思い出して、館内スタッフの人にお尋ねしたら紅葉の場所がある!とのことで見てきました。写真は興味ない方もいらっしゃると思うので💦最後か別記事に載せます。

ふと思ったのが、5日間も公演があったのなら、玉さまお忍び的にこちらの紅葉をご覧になってる可能性十分にあるのでは、と。私が拝見した日の口上では紅葉のことは一言もお話されなかったので、実際どうだったのかはわかりませんが(笑)よろしければ後でご覧くださいませ🍁

 

入る前にいただいたのはパンフレット。表紙はチラシと同じでしっかりしたもの。

紋付きのお写真(最新バージョン)と、それぞれの演目についての解説が書かれています。

 

〈口上〉

今回は舞踊公演で台詞がほぼないため(賤の小田巻では少しあり)口上から始まりました。

能楽堂は幕がないので、舞台へと続く脇の道のようなもの、橋懸かりを通って本舞台へと移動されます。場内が暗くなって、揚幕が上がり、玉さまが歩いて来られるのが気配とほんの少しの明るさでわかります。

この時は客席は拍手をせず、ただ息をのみながら玉さまのことをひたすら見つめる時間のような感じ。

 

そして舞台中央へたどり着いてお座りになられお辞儀をされた状態で照明が明るくなったと思います。

ここまでのしんとした静かな空気とワクワク感が能楽堂ならではで好きな時間です。

 

口上が始まり、能楽堂とのご縁、公演の千穐楽であること、そのことへの感謝のお言葉がありました。

たしか能舞台を使用したのもこちらが初めてだったとか。そのことから学んだことは多くあって、幕がない、橋懸かりを使って出てくるときに、時空の転換がある、というようなことを仰ってたんですが、公式の今月のコメントにも同じことが載っていたので引用します。

能楽堂で舞踊を上演させていただきましたことが様々な意味で良い経験になりました。緞帳や定式幕のない橋懸かりだけの退場で、時空を動かすということを学べたことによって、その後の舞台の演出を考える上で非常に役だったことを今改めて感じるわけでございます。

「時空」という言葉がまさにあの場所と空間のことをとらえて指していて、玉さまの言葉の選択に感激したのを覚えてます。

 

そして熱海で起こった災害についても。

しかしながら私たち役者の役割と申しますのは、様々な魂を舞台上で慰めることが使命のように思います。

「あらゆる方の魂を慰める」という言葉を口上ではお話されてたと思います。

目の前の観客だけでなく、色んな方へ想いを巡らせてらっしゃることがよく伝わりましたし、改めて舞台や役者さんが担う役割の大きさも感じました。

あと、能舞台では脇正面があることにも触れられて、他の劇場ではみられない角度であること、その話の時に脇正面が玉さまを横からみなくてもいいように、角度を脇正面寄りに代えて座り直してらっしゃいました。

 

そして地方公演で定番になっている「打掛披露」。南座でも、御園座でも「是非!」ということで披露し続けてきたらお見せする衣装がなくなってきてしまったと(この辺のくだりのお話の仕方が面白い玉さま😂)

この日は唐織も披露してくださり、この後の演目で同じものを着るわけにはいかないので、演目での方は新しく作られたそう。(ここもお茶目でした(笑))

お弟子さんが実際舞台で着用されるような形で鮮やかに着付けてできた立体感は素晴らしかったです。

 

〈老松〉

以前国立劇場で拝見したときとはなんだか印象が違って、あちらは大舞台で、今回はそこまで大きくない舞台で、より玉さまのお役、しなやかさ、あと役の繊細な部分ををもっと身近に感じられた気がします。

 

〈賎の小田巻〉

こちらの演目も以前拝見したとき、表にわかりやすく表現されるものというよりは、そのお役の心の内がにじみ出るもの、という感じが近くて、難しい!という印象が強かったんですが、やっぱりこちらもより身近に感じられて舞台への出も退場するときも、そこまで含めてその演目で、しんとする空気、拍手が響くとき、そのメリハリもあり、この劇場ならではだと思います。

それに、口上の時の玉さまのお声、そして演目での勝四郎さんのお声、そして鳴り物の音を聴いたとき、その響きが素晴らしくて!

初日に観た友人の話だと、どうもその日はマイク?を使っての口上で音が大きかったようで、千穐楽は全くそんなことはなく、マイクは使ってなかったと思うし、もしかしたら初日の様子を見て変更されたのかなぁと思います。

この劇場でマイクを使うことがもったいないと感じるくらい音が聞き惚れるくらいの良さ。歌の時は使うのはわかるんですけど😅

そんな感動もありました。

 

橋懸かりを通って揚幕の中に入られた玉さま。ここでカーテンコールがあってもそれはそれで嬉しかったですが(笑)、やはり雰囲気がそういう感じではなく、玉さまが去られたあと、自分の内に残るものをじっと感じるというか、そのほうが合っていたと思うので、カーテンコールなしで良かったと思います。

 

時間がたってしまうと色々忘れてしまい💦演目についてあまり書けませんでしたが、素晴らしかったことは覚えています(笑)

能楽堂での公演はぜひ続けていただきたいと思いますし、玉さまもそのようなことを仰っていた気がします。