やっぱりLiveが好き

目の前の空間を味わうのが好きな人の記録🍀

「富山清仁 地歌箏曲演奏会」 11/26 紀尾井小ホール

以前玉さまが「清仁さんの会で『雪』を踊ります」って仰っていた通り、玉さまがご出演された演奏会に行ってきました。

川口で行われた「お話と素踊り」で、清仁さんが関東の地歌の富派を継ぐ(というような話)で悩んでおられた際に、後押しの言葉を玉さまが伝えたというようなお話もされてて、『黒髪』から始まって「『雪』までできるようになったので出ていただきたい」ということで今回の出演になったそう。

当日配られたプログラムに、清仁さんの御挨拶の文章が載っていたので一部引用させていただきます。

坂東玉三郎丈には、分不相応なご出演のお願いをご快諾賜りました事、身に余る光栄と存じ上げております。更に、大変ご多忙の中お時間をお割き下さり、舞地を務める際の様々な心得について、お心のこもった温かいご指導を度々賜りましたご恩情、伏して御礼を申し上げます。

〈狐火〉

清仁さんお一人で三絃をひきながらの歌。私は地歌全然わからないので細かいことはわからないし書けないけど💦今回集中して聴くことで、その震わす歌声(震わすものなのか自然にそうなるのかわかりませんけど)がやっぱり特徴的だなぁと。あと、目を閉じながらの演奏なので、どういう状態(精神や身体)なんだろうなぁと、どういう世界を感じてらっしゃるのかが気になりました。

〈松の寿〉

祝賀曲らしく、舞台にひかれた毛氈?もさきほどの寒色とは違って赤いおめでたい色に。それだけでパッと目にも鮮やかに華やかになるんだなぁというのを感じます。
今度は清琴さんが三絃、清仁さんが箏。地歌にメインという言葉を使っていいのかわからないですけど(笑)、清琴さんがわりとメインで、清仁さんは箏、そして歌。この後の『雪』で気づいたことがあったのでそこで感想を。

〈雪〉

休憩を挟んでの『雪』。この日の会場は紀尾井小ホールだったんですが、ここのトイレ自体の設計が有難いと思ったという、全然関係ないけどそこ1つとっても良いホールだと思いました(笑)

そして!玉さまのご登場。幕が上がると上手に三絃の清仁さん。中央に玉さま。…なんですが、『雪』のおどりは下手を向いてのことが多く、ちょっと上手は少しだけ距離があったような。とはいえ大きくはないホールなのでどこでも見やすいんですが、つい「もう少し下手に行きたい!」とか思ってしまいます(笑)

最近は素踊りでの『雪』を観ていたので、拵えありの玉さまが圧倒する美しさで‼️雪の女性は「圧倒」とかそういう言葉にあてはまらない役ですけど、あまりにも繊細でまばゆい美しさで、思わず息をのむとはこういうことか、と思ったほど。
素顔でも『雪』のその女性であったし、美しさは何も変わらないけど、でも久々のお化粧をされて、雪の衣装での玉さまがやはり素晴らしすぎて、「はぁぁぁぁ」と吸い込まれそうになっている時間でした。
素顔の時には衣装の裾まで見えるかのようにそのまま表されていたけれど、その衣装を着てその動きをされるとやっぱりそこに完成があらわれるのだなぁと、改めておもいました。

そして清仁さんの歌なんですが、声の震えなどは清琴さんのような震えと同じで、清琴さんよりお若いのでやはり声もお若く、こういうのは年輪のように出来上がっていくものかと思うので、これからどんどんその味が出てくるんだろうなぁと、地歌全然わかりませんが、そんなことを思いました。
いつも玉さまの『雪』の時に聴いているのは清琴さんの歌声で、今回初めて清仁さんの歌。聴いていて気づいたのは、清仁さんの歌、声というのは、清琴さんの歌に比べると、少し強いというか前に出ている感じがするなぁと。前に出ているのはでしゃばるとかそんな意味ではないです💦なんというか、聞こえ方が前にちょっと出ている感じというか。
清琴さんのいつもの歌声というのは、はっきり聴こえるのにもっと引いている、そしてそれが玉さまの『雪』の世界、あの女性の背景に流れる歌として曲としてぴったりだということ。でも引いているのにその世界観を創るのに本当にちょうどいい、あの引きかた、出方、空間にひびきわたるのが清琴さんの「あの歌声」がちょうどいいのだと。

だからこそ『雪』の世界が完成するのだな、と思いました。清仁さんに対してとても失礼なことを書いてしまってますが💦きっとこれからそういったことが出てこられる方なのだろう、と思います。一朝一夕に出てくるようなものではないからこそ、きっとその「引き」というのが表現されてくるんだろうなぁ、なんてことをど素人ながら思ったのでした😅

いつも当たり前のように、聴かせていただいていた清琴さんの声というのが、本当に絶妙で素晴らしく、物凄く大変なものなのだということも改めてわかった気がします。

地歌」のことはわからないし、と思っていたけれど、じっくり聴くことでいつもよりさらに「聴く」こと、あと自分が感じたことですが、気づきもあり、とても良い機会だったなぁと思いました。