やっぱりLiveが好き

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「坂東玉三郎 お話と素踊り」その① 7/3 すみだトリフォニーホール

この日の演目、目次的なものと、清水まりさんというライターの方の文章が載った、パンフレット代わりの用紙が他のフライヤーと一緒に配られたんですが
その最初に「お話コーナー」と書かれているのがなんだか可愛くてですね、そのままここに使わせてもらいました(笑)↓

〈お話しコーナー〉

ヨーロッパっぽい重厚な幕が上がると、玉さまお一人が迎えてくださいました。
グレーっぽいスーツに首のつまったシャツ、シャツの袖の部分は割りとしっかりジャケットのから見えていて、玉さまらしいなぁなんて思ってました。

椅子に座られて、その背後には大きなスクリーンがあり、遠くのほうでも玉さまの表情がみえやすいように、終始写し出されています。

いつもは旅や女方やテーマがいくつかあるけど、この日は特にフリーだとか。
「なにをお話したらいいか」という風に仰っていたけれど、興味深いお話をたくさんしてくださいました。↓順不同で覚えていることを。


玉さまは話がとんでしまうということを、周りの方や劇場の方は承知してるので、話をつなぎ合わせて(?)わかってくれるけど、(話がとんでしまうという)そういうことなので、それをあらかじめご理解いただきたいとのこと(笑)

今回の素踊りについて

歌舞伎役者は必ずお化粧をして演じるものなので(この後に何か仰ってたかも💦)、素顔でということはまずない。
先月の休演日にこちらのホール(下見?打ち合わせ?)に来て、大きなところなので、白く塗って化粧をしてもわからないだろう(笑)と思ったとか。

最近の近況、WOWOWについて

WOWOWで玉さまの出演作や、監督作品が放送されてることをお話され、昨日録画したものを見たそう。(『玉さまはWOWOW入ってるんだ』と思った私w)
(WOWOWが言っていた話だと思うけど)配信→映画(大画面)という流れを作りたいと言ってたと。けど、「それは逆じゃない?」と聞いたら、今は配信や小さい画面でよいと思ったものを映画館で、ということが求められていると知ったとのこと。
ここでそのことわかってる人がどれくらいいるか拍手で教えてほしい、と聞くと、まあまあ居て、「知らなかったのは私だけですね(笑)」と少ししゅんと気味の玉さま(笑)。

玉さまは小さい画面で見ていても…と以前から仰っていたので、それが大画面でみたいきっかけになることに驚き、新たに視野が広がった、のかもしれないなぁなんて思いました。

監督した映画についても、当時は計画してもなかなかそのとおりに行かなかったり、苦しいこと大変なことが多かったが、今考えるととても有りがたいことだった(この辺の記憶が曖昧なのですが)のように仰っていたと思います。

玉さまが持っていた帯を、その場面の全員に締めて使ったり、吉永さんの衣装の一部に使ったり、といったこともお話されてました。帯を見るとそのことを思い出す、とか。

WOWOWに入っていない方に入って、とは言いませんが、もしよろしければ、みたいに物凄く控えめにすすめてらっしゃいました(笑)

気になった使い捨て問題などについて

暗い話になってしまいますが、という前置きがあってこのお話。人が出したプラスチックゴミが流れ流れて魚が口にし、結局それが自分達の口に入る、と。
また無農薬の野菜などを選んで食べているけれど、こういう使い捨てを続けていったらどうなるのか、みたいに仰ってました。

玉さまが生まれたときから使い捨てという時代になったが、玉さま自身はあまりそういう意識ではなく物を使ってきたとのこと。舞台の化粧をするときの筆も毛先が広がってきても根本を糸でくくって使う、ということをしてきたので、安易に捨てるということはしないことを教えられ、そうしてきたそうです。

ここでのお話か忘れてしまいましたが、玉さまは震災以降海に潜ってはいないのだそうで、潜っていたときに見ていた美しい海はもう見られないと聞いたそう。

…ここだけ私の感想なんですが、プラスチックは木を伐採しない為に出来たものでもあると聞いたことがあるので、使い方や安易に捨てるのが問題なわけで土に還らない材質というのもあるけど。
こういうお話を、自分が好きな方尊敬する方から聞いた時「じゃあ悪いから使わないわ!」みたいな受け取り方になる人もいらっしゃると思うけど、なんでも一旦自分で調べて考えるということが関心を持つということに繋がるんじゃないかなぁと。

プラスチックの話は「そうだよなぁ」と思う話ですが、全く違う話だと
「ほめられたことをそのまま鵜呑みにしない」ことを、『歌舞伎役者』として玉さまは教えられてきたしそうしてきたというお話があるけど、それを『歌舞伎役者ではない』多くの人、自分や他人にあてはめたらただ苦しいだけになってしまうので(笑)
崇めるということでなく自分が主体で聞くということがこういうお話の時は大事だなぁと、自分の過去を振り返っても思います💦感想終わり。

にざ様のこと

4,6月に上演した『桜姫東文章』は上下にわけることで演じることが出来たが、それでも自分より年上で早変わりもあるにざ様はとても大変で、よく無事に演じ終えられたことだなと思った、とか。

舞台上に出ている時間より、引っ込んでいる時間の方が忙しい、と。

玉さまが演じたお染七役等もそうだったが、昔は1日でプラス他に二演目もやっていたので、朝から夜まで出ずっぱり。
始まる前に『うな重』を頼んでおいても、終わる頃にはとても食べられず、途中で「やっぱり親子丼に」と変更するくらい(疲れきっていた?)だったと。
「食べ物の話ばかりで(笑)」と仰っていたのがかわゆい(笑)

中日劇場の話だったと思うんだけど、昔にざ様と一緒だったとき、ホテルで朝食をとる→劇場の楽屋へ、というのが大変だったので、朝食を楽屋(違うかもしれないが劇場のどこか)でとっていたそう。
玉さまは、朝はしっかり食べて夜にかけてだんだん減らしていくタイプなので、朝食は三段重。
でも恥ずかしいので内緒にしていたそう。ある時にざ様が早く来られた時に、それが見つかってその時「あんた、そんなに食べんのか」みたいに言われたそう(笑)

にざ様は朝からそんなに食べられないタイプの方なので、『コーヒーにトースト』くらいだったそう。そのかわり終わった後、夜にしっかり食べるので玉さまとは真逆。
ただ、今は劇場近くにおうちもあるのでそれはないのでは、と玉さま。

そして今年の桜姫の時かな?に玉さま「しっかりたべてんの?」に対しイエスの反応だったにざ様が「あんたまだたくさん食べてんの?」と「そうよ」と返す玉さま(笑)

にざ様の口調を真似て話す時、柔らかいけどあぁ間違いなくにざ様だなぁと言う感じで、玉さまがご自分のせりふを言うときにも、普段から知る人への口調を聞けて、その光景を見ているようでもっと聞いていたかったです。

〈質問コーナー〉

お話の後半に、事前に客席の方から募集していた質問に玉さまがお答えするというコーナー。
いただいた質問に答えてそれをどんどんやっていけばいい(効率重視)ということでそういう形にしたのではなく、質問用紙が手元にあると、話が飛んでももどってこれる、みたいに仰ってました(笑)

「27年前に弟子入りしてから~」とご紹介され、今回の質問の読み手として玉朗さんが舞台に登場。
その紹介の時、玉朗さんは玉さまのことを「若旦那」や「師匠」と呼ぶそうで、27年前は「若旦那」だったかもしれないが、年齢が上がってきてもそのまま呼び続けるのが歌舞伎界、女方と(笑)
またそういう普段から知っている方が相手だと、玉さまとリラックスしてできるから、みたいなことも仰っていました。

玉朗さんは全身黒の服で、ご自身の言葉を発することは一切なく、質問用紙を読むということに徹してらっしゃいました。
流れ上難しかったかもしれないし、時間もなかったとは思うけど、お弟子さんから見た玉さまとか、質問に絡めた何かを聞いてみたかったなぁとも思います。なかなかお弟子さんの素顔を知る機会がないので。
声を発すると、女方さんだからか声が高めで柔らかく、でもハッキリと聞き取りやすく、見た目の堅めな感じとのギャップに驚きました。

そのへ続く