やっぱりLiveが好き

目の前の空間を味わうのが好きな人の記録🍀

「二月大歌舞伎」 2/15 歌舞伎座〈神田祭〉

神田祭

本当に前回は記憶がぶっ飛んでいたんだな、
と今回見て思いました(笑)
そんなハッとしたところが多々あり。

幕落としとともに、にざ様の鳶頭が登場。
その時両脇に若い者がいて、
すでにいなしてる、っていうところから
始まっていた!!記憶にないぞ(笑)

そのにざ様が本当に軽ーく相手をして
(という力の差の表れ)
この余裕すぎるのが物凄く格好いい。

ほろ酔いのご機嫌な様子、サッと躍り
その後の晴れやかな表情でびしっと決める時も
清々しくて本当に見ていて気持ちいい。


花道からやってくる玉さまの芸者さん。
自分で捉えきれてない言葉は恥ずかしいから
使わないけど、でもそれでも言いたくなるのは
『粋』というのは、まさにこの方だなぁと。

にざ様同様、ふっと抜けた余裕があるんだけど
芯があって、纏ってる空気も在り方も
芸者さんの持つそれであり、格好いい。

今回上手寄りの席だったんですが、
玉さまが花道から舞台上へ着こうという時、
下手舞台袖から玉雪さんがいらして、
そこから玉雪さんが二、三歩歩いて
ちょうど玉さまと会うような位置。
タイミングも玉さまが来られた時と
玉雪さんがそこに到着する時が
バッチリあっていて、そして玉さまが
下駄を脱ぎ玉雪さんがさっとそれを持って
来た方の舞台袖へ下がる。

この一連、あまりにも無駄がなく美しくて
『出会い頭に下駄回収』という、
リズムはともかくその言葉のセンスどうなん?
ていう(笑)そんな言葉が浮かぶくらい鮮やかで
舞台のそこかしこでこんなにワクワクする
瞬間が観られるのってすごいなぁと、感激。


玉さま芸者さんが簪を落として
それをにざ様鳶頭が拾い、渡す。
拾い、渡すというだけでもこんなに見せ場に
なるというこの場面。

この日は玉さまが受け取った簪を、
自分の髪に戻す、という時に、
どうも思ったところにささらないらしく
にざ様が踊っている間や、その後も
しばらくずっと直しながらで。
差し直してる時に「ぶちっ」という音も少し
聞こえた気がして大丈夫かなと思っていたんですが。

玉さま、演じている方にとっては
こちらがあまりこういうところに
注目しない方がいいのかもしれないけど、
こういう時にどうされるんだろう…
と気になるのでいつも見ていて、今回も
また見ていました。

単に想像ですけど、この先も演目は続くし、
途中で落とすわけにもいかないでしょうし、
外す、という風にしてしまうより、
時間はかかっても戻すことに
(拾ってもらった簪、という以上の)意味が
あるんだろうなぁ、と思いながら
見てました。
でも、もっと単純なことで、ただ、戻す。
かもしれない(笑)


そして、やっと無事にささった!
鬘の中でベストな落ちない位置とか、
角度とかがあるんでしょうね、きっと。

そんな話を友人としてたら、自分の皮膚、
髪ではないから、引っ張られる感覚が無いし
鬘に差すのは大変なんだろう、と。
確かに!!自分なら感覚があるけど、鬘は
物凄くわかりにくそう。
そのなかで、ここ!というところをどう
探すのか、一体どういうところがその部分か、
なにかで知れるなら知りたい…。

簪がささってからは、安心して見てました(笑)


玉さま芸者さんが、にざ様鳶頭の後ろに立って
確か踊ってらっしゃる時、
にざ様は立て膝?のような腰を低くして
遠くを見ている場面があるんですが、
この時、ちょうど上手の方に視線を向けて
らっしゃるんです、にざ様。

同じ場所を見つめている時間が結構長くて
ちょうどにざ様の視線の先にいる、
(実際はそれよりほんの若干左だけどw)
ぜったい違うけどなんか目が合っている気に
なってしまう席の私(笑)
踊る玉さま、視線が飛んでくる(と思っている)
にざ様を交互に見ながら、
『どうしよう(どうもないw)』という、
落ち着かない、ドキドキした気持ちでした(笑)


玉さまとにざ様が向かい合って、
どちらかが客席にお顔が見えているとき
反対側の人のお顔が見えない問題(笑)
ちょっと見えた!!上手寄りだった為か、
にざ様が客席にお顔、玉さまが舞台奥、
つまりにざ様にお顔を向けているときは
どうなっているのかを見れる角度が到来!!

玉さまの視線はにざ様のお顔の方を
見てらっしゃいました。
その時にざ様は玉さまのお顔を見てらっしゃる
ものの、若干視線が下気味だったので、
もしかしたらばっちり目と目で見て
らっしゃるのかは謎でした。

役としては合うほうがベストなのか、
演者としては外れている方がいいのか…。
こんなことをもし聞いたら、当然○○、
というお答えが返ってきそうですけど、
玉さまはにざ様を見てらした!ということは
確認しました(笑)


後見の玉雪さん、仁三郎さんがそれぞれ
下手、上手の舞台袖から来られる時、
仁三郎さんはどうなのかいつもわからないけど
玉雪さんはどうも仁三郎さんを見ながら、
到着するのを同じように調整してらっしゃる、
ような。
そんな風にも見えたし、自然に移動して
らっしゃるだけかもしれませんが💦


そして前回同様、玉さま側の下手の椅子を、
少し位置?を直してから舞台袖に、
引っ込んでらっしゃいました。
これは段取りなのかも!!と思って
別日に観劇した友人に聞くと、
その日はなかったと。
ということは、微妙に位置が直す必要の
ある時にそうされてるんだなぁ…
さすが気遣いの達人。


にざ様も玉さまも、扇子をバッと音をさせて
開くところ。音に合わせ、間を合わせ、
びしっとすべてが決まるのが、たまらなく
かっこいいなと思う。


今回も立廻りの時、にざ様玉さまと、
若い者の間を少し見ていたけど、
玉さまが手を返すときは、相手の動きを
見ながら、少しそれに合わせてふわっと
返すようにされてたように見えました。


にざ様の鳶頭が、玉さま芸者さんの手を取る時
のふんわり感(本当はふんわりではない、
かもしれない。それはまた後日確認)や、
にざ様が斜めに玉さまを抱き抱えるような時、
さっき書いた↑にざ様が立て膝で視線が上手の
時、
玉さまがそのすぐ後ろでにざ様の背中を
足で押してるような時、

あと、玉さまが「違う違う」みたいに首を振って
らっしゃるときのお二人の感じ(笑)とか…
他にもたまらない場面がいくつもあって、
にやけるのが止まらない(笑)

ちなみにその首を振るところは、
一体どういう場面か、と思ったら

清元「神田祭(かんだまつり)」歌詞と解説 | 俺の日本舞踊

↑この

やっと抱き締め 床の中から
夜着蒲団をなぐりかけ
何でもこっちを向かしゃんせ
よういようい よんやな

ここのような。
神田祭の歌詞は初めて見たけど、
歌詞読むのは良い(笑)
よくわかるようになるっていうのもあるし、
昔の言葉の感覚っていうのが
好きだなーと思うこともあって。
しかもちょっと夫婦喧嘩してる時(笑)
そんな可愛い場面があの時だったとは!

こんなにお二人がいちゃいちゃして下さるこの演目(笑)、
三年前この演目選定してくれた人ありがとう‼️
と、今回も声を大にして言いたい気持ちで
いっぱいでした(笑)

本当に見ていて幸福でしかないですもん。


『於染久松』→『神田祭』と上演されることで
にざ玉お二人で演じる夫婦役、
そのどちらにも全く別の魅力があって、
その違いを楽しみながら観られるのが
三年前、今回のいいところだなぁと思います。

玉さまのお相手がにざ様でよかったし、
にざ様のお相手が玉さまでよかった、
って本当に心から思う、息の合ったお二人の
芝居、躍りで、それを今観ることができて、
本当に嬉しいなぁ、ありがたいなぁ
って思います。