やっぱりLiveが好き

目の前の空間を味わうのが好きな人の記録🍀

「三月大歌舞伎」 歌舞伎座 3/24,29〈楼門五三桐〉

24日、吉右衛門さんの石川五右衛門を観て、
特に大きく身体を動かす演目ではないから
私の思い込みかもしれないけれど、
どことなくお身体の不安定さ、エネルギーが
少し弱いような感じはしていたものの、
気になったのはそこだけで。

28日にこの演目を観た人からその不安定さや
黒衣さんに支えられていたことを聞いて
少し不安がよぎりつつも、
きっと千穐楽まで無事に勤めあげたいと
思ってらっしゃるであろう吉右衛門さんを
見届けたい!と思ってたところに
吉右衛門さんが倒れ休演そして代役の話が。

29日は真柴久吉役で共演されていた
幸四郎さんが五右衛門を、
その真柴久吉に鴈治郎さんという配役。

短い演目とはいえ、次の日には
全く別の役を演じるというのは大変なこと
だろうな、拍手で伝えられたらな、と
思って行ってきました。


前回は吉右衛門さんばかり観ていたのか、
今回初めて歌昇さんと種之助さんの良さに
きづいた(笑)!まっすぐな感じが良いなぁと
今さら思ったんでした(笑)


そして幸四郎さん。
今の幸四郎さんにちょうどいい役があり、
本来ならば演じないようなお役。
今回は代役という突然の出来事で
完璧に演じきってらしたことが凄いことだな、
と思いました。

幸四郎さんを観ていて突然よぎったのが、
先週拝見した吉右衛門さんの五右衛門。
とくに思い出そうとしたわけでもないのに、
自然と浮かんできて。
声の良さ、その声を劇場中に届けようとする意識と響かせ方。
内側から醸し出されるその人物の魂というか
そういった何かや、存在感の大きさを
感じていたことを思い出し、
こんなにも凄かったんだ、ということが
この時初めてわかったという…。


吉右衛門さんと幸四郎さんの間、
演じてきた年数、役柄、経験値、個人的なもの…
それらに違いがあってきっと当たり前で。
吉右衛門さんの圧倒的なそれを、
感じていたことに気づきました。

真柴久吉役の鴈治郎さん。
隅田川とも違い、すっ、と存在されながらも
その人物の大きさを感じて、
鴈治郎さんのこのお役もいいなぁと思いました。


今回の観劇はたくさんの発見がありました。
吉右衛門さんの凄さを改めて知るとともに、
時間がない中きっちり演じてらした
幸四郎さんも鴈治郎さんがさすがでした。

目の前の役者さん達への有り難さの気持ちと
吉右衛門さんがお元気になられて、
笑顔で登場されることを思い描きながら
気持ちのこもる少し長めの拍手が客席からあり
この幕が終わりました。