やっぱりLiveが好き

目の前の空間を味わうのが好きな人の記録🍀

「二月大歌舞伎」 2/5 歌舞伎座〈於染久松色読販〉

三年ぶりに帰ってきてくださった、にざ玉!!
お二人の共演は他にもあったけれども
お二人が主役で三年前と同じ演目で
そしてあの!神田祭を再び!!!

観る前からこんなテンションだけれども(笑)
実際拝見してもやっぱりこうなるし、
むしろそれ以上!!
二演目とも素晴らしすぎてその世界を観てると
フワーッとしてまるで地に足がつかない。
なのでそんな感想になると思います(笑)💦

〈於染久松色読販〉

三年前に観た時より、場面が増えてました。
後で二人がゆすりに行く事になるいざこざの元、
油屋の九助と嫁菜売の久作が、言い争いに
なってしまうところのくだり。
その周辺のことも描かれているから後の場面が
より活きてわかりやすくなってました。


最近は後見で拝見してた玉朗さんが
女方で出てらして久しぶりのお姿だなぁと。

九助は玉雪さん。
びっくりするくらい短気な役(笑)
だからいざこざが成立するんですが、
久作の吉之丞さん、油屋の彦三郎さんも
皆さんその役の色がはっきりしてるから、
面白いなぁ、と思って見てました。


彦三郎さんが一月の下旬に呟いてらしたこと
https://twitter.com/otowayabando/status/1354398384530968577?s
今年加わった場面全部のことなのか、
それともそれはあらかじめ決まっていての
さらに追加なのか。
まだ筋書を手にしてないからわからないけど、
急遽場面まるごと追加なら、大道具も何もかも
作ったりするんだよなぁと思うので
細かい変更のことなのかなぁ。


そして!!
お六さんの営む莨屋(たばこや)の場面。
舞台が回転すると、
真ん中に玉さまのお六さん!!
その隣には功一さん。
功一さんは三年前と同じ役で。

お六さんの台詞一つ一つの発し方、
佇まいで、この人の背景がわかり、
今回はさらに玉さまの凄さを実感。
三年前の自分は感じていても
こうしてここまで気づけてなかった気が。


そこに帰ってくる仁左衛門さん演じる、
喜兵衛の貫禄!!
その横で、お六さんがたばこを吸うその様、
その手の形、たばこの持ち方、手の置き方が
惚れ惚れするくらいカッコ良くて、
粋というか。
この場面はずっと観ていたいくらい…。


金を手に入れることを思い付いたお六と喜兵衛。
お六は持ってきた灯りを着物で隠しての
(悪事が周りにばれないように)
幕切れなんだけど、
その時の姿も痺れるようなカッコ良さで!!
玉さまの美しく儚い役も良いけれど、
こういう役もたまらない…。


油屋の場面。
お六が油屋に乗り込み口調が変わっていく時、
言葉を向ける相手の方へ、
身体も物凄く傾けて動いていってる。
例えるなら『へ』の字を反転したみたいな感じ。
への頂点にお六さんの頭があるような(笑)
ちょっと傾く程度じゃなくて、
そこまで表すことが、
そういう一つ一つの身体や表現の積み重なりが、
その役にどんどん成っていって、
真ん中には役の心を置いていて、
その場をより「そうでしかない」と思えるものに
していってるんだなぁ、なんて思います。

相手にとって嫌な言葉を投げ掛けるときの
お六さんの口。
つきだすような形や、左右非対称の口元!!
悪い役の時特有の口の形が観れて
ニヤッとしてしまう(笑)

喜兵衛さんを呼び込む時の
「お~~い!こっちだよ~!」も好きだし
「昔は吉原にいて~」と自分のことを語る時も、
なんか、堂々としてて良いんだよなぁ、
お六さん。

啖呵を切る時、他の時もお六さんの話す言葉が
流れるように入ってきて
聞いてるのが物凄く気持ちいい!!
ただサラサラ入ってくるということではなくて、間、リズムを完璧にとらえた人が放つ言葉
っていうのは、
身を乗り出して聞きたくなってしまうくらい
魅力的なんだなぁ、と。


山家屋清兵衛の権十郎さんも、
最初の幕で九助と久作の間に仲裁に入るけど、
この幕ではお六と喜兵衛に騒がれた時に現れる。
最初の幕で見た清兵衛さんとは違い、
はっきりとその人物の器というか、
大きさを表していて、
その在り方が凛としていて
存在で結界ができるような感じがあって。
一瞬でその人物の在り方を変える
こういう方を知る、観ることができるのは
やっぱり楽しいし嬉しいなぁと思います。


千次郎さんも前回もこのお役だったような、
とは思ってたけど
台詞を聞いて「そうだ、間違いない」
ってわかる。
それくらい馴染んで定着してるのも
凄いなぁと思います。


仁左衛門さん演じる喜兵衛。
やっていることはゆすりだったりなんだけど、
お六さんが惚れたのって、この人物の
こういうところなんだろうな、というのは
にざ様が表す喜兵衛の全て、
そのものなんだろうな、って気がする。

どんなであれこんなに堂々と構えていて、
すべての動作に大きさとゆとりがある。
悪なんだけど何をするにもカッコ良くて、
でも失敗するしなんか憎めないし(笑)

ここに登場してる人達が「人間」で、
その一人一人が立っているからこそ
こうして織り成してる世界って
面白いなって感じるんだと思った。


この演目は観れば観るほど、
知れば知るほど面白く、
役者さん…特に玉さまにざ様の凄さを
実感する演目だなぁと思います。