やっぱりLiveが好き

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「二月大歌舞伎」 2/26,27 歌舞伎座〈於染久松色読販〉

〈於染久松色読販〉

喜兵衛さんが帰ってきて脱いだ履き物を
お六さんが揃えてるんだ!!ということに
やっと気づきました。
喜兵衛さんは進行方向(喜→家)のままだった
ので、まず履き物の向きを反対にして、
そして揃えた後に、両足分くっつけたまま
ではなく、その間を少し開けている…!!

この時代だから当たり前なのかもしれないし、
お六さんのしてきた仕事柄身に付いていたかも
だけど、相手を立てること、気遣いがそのまま
表れているところだなあ、と。

そして千穐楽、油屋に入る時、喜兵衛さんが
脱いだ時も、お六さんが同じように
しているのを目撃!!
たばこやで草履を直した後、さっと手を拭う、
というところもあり、
あとはこの後の油屋の場面で喜兵衛さんが
通るときに暖簾をあげていたり、
「いつもの生活」や、細かい気遣いの行動に、
昔の女の人や女方の繊細さが宿っているなぁ、
と感じた場面でした。


たばこを吸うお二人について。
お六さんのその場面が綺麗だなと思ってたので
じっくり観察。
お六さんのたばこの持ち方は、たばこの長さに
手を添えるような感じで、細く長く見えて美しい。

対して喜兵衛さんの方は、足にひじをつき
たばこをつかんでいる豪快な感じが、
役の人柄そのものが表れているなぁと思う。


二人が計画を思い付いたとき、お六さんと
喜兵衛さんが、それまでの姿勢から
ちょっと引いてためを持ったような瞬間が
かっこよくて!!
その一瞬があることで大きく違うと思う。


その後喜兵衛さんがお六さんに、灯りを持って
くるよう頼み、その間に喜兵衛さんが
死人工作をし一部始終見ていた見張りの人を
やりこめ、そんな最中に、お六さんが灯りを
持って戻ってくる。

見張りの人を閉じこめた桶の上に、喜兵衛さん
が飛び乗り、お六さんは灯りを隠して
二人が見栄をする時。←上手側から見ていて、
にざ様と玉さまはその瞬間、『気を出している』
のが凄くよくわかって、気が見えるわけでは
ないけど💦そういう何かを出している、
というような。
それを作り出す元は型があってこそなのかも
しれないけど、そこから発して周りに伝わる
には、やっぱり『気』を出すことなんだよなぁ、
と思った瞬間でした。


喜兵衛さんは動じない堂々とした人であるから
表情やしぐさに気持ちが出る、出すのは
細かくはない。

逆に、お六さんは感情が表に現れるし、
『お金を騙しとる為に〈演じている〉』
という、わざとらしく言うところも見ていて
楽しい。その時々の台詞が、生き生きとして
面白さを感じるし、何より愛嬌があるところが
憎めない、可愛らしささえ感じるんだと思う。

でも喜兵衛さんまでそういう感じだったら
きっと見ていて落ちつかないだろうし(笑)、
喜兵衛さんのどっしりとした男らしさが
お六さんが惚れてるところだとも思うので
本当に上手いバランスの二人だなぁと思う。


油屋に乗り込んだ時、さらにその良さが
現れていて、お六さんが啖呵を切り、
喜兵衛さんの一言があり、間と言葉のリズムの
気持ちよさと人間のいろんな面が見られるから
この場面が生き生きしてて毎回楽しい。


二人の企みがばれてしまう人物、久作が
あらわれても、喜兵衛さんはそちらを
見向きもしない。
自分の前を久作が通りすぎるときに初めて
ギロッと見て苦い表情をするものの、
ばれても堂々とした態度は変わらず。

自分から振り返って見るようなことをしない、
というところも喜兵衛さんらしかった。

対照的にお六さんは、ばれたときに
へなへなっとなったり、喜兵衛さんに
籠をかつげといわれた時のがっかり感。
滑稽さや情けないところもひっくるめて
人間が愛らしく感じるし、お六さんの
細かい移り変わりが、玉さまの物凄い上手さで
表現されてて、それが見られるのが
この演目の魅力の大きな部分だと思う。


ひとつひとつ『ここのお六さんは』という風に
メモしたいくらい細かくすべてが
素晴らしいのだけど、自分がなかなか台詞を
覚えていないので💦配信で確認しつつまた
書いていきたいなぁと思ってます。