やっぱりLiveが好き

目の前の空間を味わうのが好きな人の記録🍀

「八月納涼歌舞伎」8/14,22,27 歌舞伎座 ①

玉さまが納涼歌舞伎!!そして初見の雪之丞変化!全然わからないけどとにかくわくわくする!!ということで行ってきました。

 

<新版 雪之丞変化

「映像を使う」という事前情報はあったもののどのように使うのか?は謎なまま・・・

幕が開くと、最初からスクリーンの登場。

坂東玉三郎」「中村七之助」「市川中車

の文字がお一人ずつ映し出され、最後に

『新版 雪之丞変化

のタイトル。そこに心臓の音とも、足音とも、

「ドンドン」という迫るようなシンプルな音のみ。映画のよう。

そして舞台上には伽羅先代萩の一場面。八汐役の星三郎(七之助さん)、政岡役の雪太郎(玉さま)。懐剣を見て動揺し手が震える雪太郎、星三郎の機転でその場をどうにか乗り切る。本来であれば七之助さんと玉さまは逆の役、役目であるけど、今回の舞台だからこそこのような配役で、こういうお役で観られるんだ!って凄く新鮮だった。

その後にスッポンからせりあがる仁木弾正役の菊之丞(中車さん)

「おっ!」と思う映像使用第二弾はこの場面で、菊之丞の立つ花道上に黒衣さんが何名かいらして、そのうちお一人か二人が実際にカメラを持って菊之丞を映す。その模様が舞台のスクリーンに映し出され、そのまま映すのではなく、実際の菊之丞の後ろに何人も菊之丞がいるように見える手法を取っており、手にろうそくを持つ菊之丞だからさらにこの世ともあの世ともいえるような雰囲気の映像になっていて、なんだかわからなくても見入ってしまう。

揚幕の中へ入っていく菊之丞。舞台上にはすでに誰も居なくなっても、映像は続きを映している、というふうに、雪太郎の様子を嘆きながら楽屋の方へ戻る菊之丞をカメラは映している(という設定で舞台上にはその映像が映し出されている)

その後は実際の雪太郎が菊之丞の楽屋を訪れる場面が舞台上で演じられる。中車さんも、役柄上では玉さまの先輩役、というか役者雪太郎を育てたような人物。しおらしい玉さまを見てはきゅんきゅんする・・・。

「実は雪太郎は・・・」という過去を語る場面にも映像が使われていて、過去の出来事に苛まれる雪太郎の心情を、今までに玉さまが演じた鷺娘の一場面を使って表したり、「人の目」に翻弄される様子も映像を使ったりしていた。

深刻な場面と場面の間に出てくる、雪太郎と同じ一座の口の軽い鈴虫(音之助さん/やゑ六さん)が登場することで明るさが戻り肩の力が抜け、ある意味重要な役を、お二人ともとても素敵に演じられていた、と思った。

このお二人を抜擢したこともすごく意味の在ることだと思ったし、お二人にとっても、他の役者さんにとっても、こうしてちゃんと見ている人がいるということ、活躍の場が設けられるということはとても重要なことだと思う。

 

「役者は人のためになることができない」と悩む雪太郎に、「人の心を慰めることの出来る役者になりたい、と精進を重ねている」と語る菊之丞。名前が変わることで役者としてまた大きくなるように、と雪太郎に雪之丞への改名を勧める。

名前を改めた雪之丞は旅芝居先で星三郎と語り合う。←この場面!!!!!

はい、エンドレスリピート永久希望の場面です!!!!!

芝居の話に花を咲かせる、という場面なんだけど、「なんの役がやりたい?」と聞く星三郎に雪之丞は答えるんですわ。玉さまが過去に演じられた名作の数々を!!!!!

最初は口ごもる雪之丞も、星三郎に問われると、だんだんと口にするのであった。

ちょっと恥ずかしそうに、でもはっきりと「桜姫」。

と同時に後ろのスクリーン半分に玉さまが演じたときの様子が少し映し出される。その後に「八重垣姫」「雪姫」。

ここまでが映像を使ったシリーズ。「姫ばかりだな」と言われて照れる雪之丞。

 

雪「あと、四谷怪談のお岩様!」

星「お岩様か、あれは難しいよ」

雪「どこが難しいんです?」

星「どこがって、んー、全部だよ!」

雪「あらー、でも兄さん、今度京都の南なんとかって小屋でされるんでしょ?監修のひとがうるさいとかって」

星「そんなこたぁあたしの口からは言えないよ」

客席、笑いと拍手、といったやりとり(笑)千穐楽では最後の星「素晴らしい人が監修で」といった台詞になってたと思う!!

 

その後(か前か順番が忘れてしまったけど)に「揚巻」「八ッ橋」・・・はい。ここからは玉さまが実際に玉さまが演じてくださるシリーズの始まりです。八ッ橋が、揚巻が、観られたんですよ!!一部だけども、一部といえどもあの八ッ橋が、揚巻が!!!

即興でその場で雪之丞と星三郎が演じてみる、という場面。雪之丞は助六の揚巻になり、

星「そんならあれが」

雪「件の友切丸か!」

星「ならば今から乗り込んでー!」

雪「いやちょっとしばし(耳打ち)」の場面。

次は籠釣瓶で八ッ橋が笑みを浮かべ、次郎左衛門が呆然とする場面。実際の役を演じる時よりは控えめだと思うけども、それでもしみ込んだそのお役が玉さまからにじみ出ている、そんな感じだった。ただただ、あの場面を観られた!というだけでなく、玉さまからにじみ出るその役を、その当時の雰囲気や何かを「今」感じられる、そういう時だった。それを受ける七之助さんも、まるで勘三郎さんのよう。勘九郎さんから感じたことは今までにもあったけれど、七之助さんからもこうしてしっかりと感じられるんだなぁ、と思った。

その後に「鰯売恋曳網」

星 「伊勢の国にー」雪「阿漕ヶ浦のー猿源氏がー! 鰯こぇぇー!!」

 

その鰯売の後に、

雪「あれ、でもこのお芝居、私達の時代のものじゃないんじゃなかったかしら」

星「いやーでも確かうちの先祖がやってた、って聞いたような」

雪「兄さんのご先祖が、未来の芝居を?あら、私なんだかわからなくなってきちゃいました」

 本当にね、この「納涼歌舞伎」だから、「納涼歌舞伎とは?」というところありきだと思う。そして勘三郎さんへのオマージュ。
勘三郎さんと玉さまのこの演目が、こうした形で観られるなんて、そして今、七之助さんで、勘三郎さんを感じながら観ることが出来る、本当になんて粋な幸せな月なんだろう、と思った。役と実際のご本人と背景を行ったり来たりする場面、何度も観ていたかった。

そして最後は

雪「二人椀久!」

そこから音楽が始まり、ふたりで二人椀久の踊りが始まる。実際の二人椀久でつかってらした、赤い線の入った恋文を玉さまがサーッと広げてひらひらさせながら。うっとりですわ。ここまでいろんな演目を観られるなんて、幸せ以外の何物でもなかった。

雪「まだまだお芝居の話がしたい」とうような台詞のあとに

星「たくさん教えることがあるからね」と去っていく二人。本当に夢の時間だった。

・・・ここまで書いてね、もう胸がいっぱいです(泣)あー、幸せ。ということで一旦上げます。台詞詳細は記憶力と再現力が抜群によい友達に聞いて完成。ありがたやー。