やっぱりLiveが好き

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「二月大歌舞伎」 2/15 歌舞伎座〈於染久松色読販〉

〈於染久松色読販〉

咲十郎さんが復帰されたので、玉雪さんを
お役で観ることができたのは前回のみ。
ちょっと残念だけど、咲十郎さんはまた違った
感じで演じられてて、
どちらかというと玉雪さんの九助の方が、
短気で強そうでした(笑)


この演目を通して観ていると、その時々に
お六さんが何を思い今何のためにというのが、
気持ちがその身体や台詞、存在に表れていて、
そういったことを観客側が観ているうちに
感覚でキャッチしているんだろうな、と思う。

最初の場面では、昔お世話になった人に報いるため、
ただそれを思い、何とかならないかと
純粋にそれを考えているお六さんで、
悪人でも何でもなくて。

そこにやってくる喜兵衛さん。
登場したときから自分が何をしていようとも、
常に堂々としている人で、
喜兵衛さんの気の大きさというのが
その身体でも表わされているし、
身体という線以上に発せられてるものが
喜兵衛さんという存在の大きさとして、
感じるんだと思う。


喜兵衛さんが家に戻ると『いつものこの夫婦』
が見える。目で見ている、というだけでなく
二人の間に流れるいつもの空気いつもの生活、
会話、すべてからそれが滲み出ていて、
ここまでの関係性が説明でなく伝わって、
お二人の台詞の間とか、そういうのも
これ以上はないな、と思えるような
絶妙さなんだと思う。


今回はじめてお六さんのたばこから煙が一瞬
出てるのを見たのも、『おお!』と思った
ことで。たばこじゃなくて、そういう煙のでる
仕組みのものだとしても、出てるの見た記憶が
なかったので、ちょっと発見した気持ち(笑)

あと前回書いてて間違えてたーとわかったのが
お六さんが喜兵衛を油屋に呼ぶ時
「こっちだよぉ~!!」ではなく
「こっちのうちだよぉ~!!」だった、
という、それだけですが(笑)


で、お六さんが油屋へ乗り込んだあと。
喜兵衛さんが合流すると、二人の阿吽の呼吸で
のやりとりでさらに面白くなる。
お六さんが畳み掛ける、挟む台詞の言い方、
間、声の高低…本当に上手い人っていうのは
聞いていると物凄く心地良くって、
耳が喜ぶってこういう感じなのかな、と思う。
他に身体で表す事細かな部分、すべてが
合わさって、高揚するような痺れるような
呆気にとられるような(笑)あまりの凄さに
やられて、椅子に深く沈みこんでしまうような
そんな感じ。

喜兵衛さんの表情、堂々と変わらない様子、
どのときでも「まさにそれ!」っていう、
それ以外考えられない姿、あり方で、
玉さまもにざ様も、その役の魂で生きて
らっしゃるからなんだろうなぁ、なんて
漠然とですが思います。

お六さんが相手にどんどん投げ掛け、
それが山の形を上がっていき→∧←ばれると
下がってきて、喜兵衛さんと籠を担いで帰る、
っていう最後まで全部が、
人間のおかしみみたいのをずっと見てるような
気がしてとにかく面白いなぁと思う。

三年前に観た時よりももっと、今回は
玉さまにざ様の凄さに気づけてよかったな、
ってしみじみ思いました。