やっぱりLiveが好き

目の前の空間を味わうのが好きな人の記録🍀

「九月大歌舞伎」 配信映像〈映像×舞踊公演 鷺娘〉

配信公演は予想をはるかに越えた見ごたえだった!

口上のことは①にまとめてしまったので、本編の鷺娘のことを。


最初の白無垢の場面。一瞬にしてその空気が変わる恨みの場面、表情だけでなく、あの視線の先にあるもの、鷺の精の世界が重く包まれてるのがよくわかる。
綿帽子から見えるところ、見えないところからも感じる気持ち、雪を見上げる一瞬、鷺の片鱗が現れるところ…どの時も心奪われて好きすぎる!!
昔は昔の良さがあって、今だからより内からにじみ出ている何かがあるような気がする。


引抜のところ。映像がクリアだから、玉さまの左側下あたりに、引抜の糸が一本あるのがわかって、これか!!これを引くのね!!と思ってた(笑)
引抜の場面をガチャガチャして見せないところ、優雅に見える玉さまの引抜が大好きで、映像でもじっくり見れた。


田中伝左衛門さんの鼓。鼓から離れてるときの手のひらがひっくりかえって、反対に反ってるくらいのものすごいスナップ。
耳で聴く音と、視覚で感じる音というのもある気がする。


最後の地獄の責めの場面。セリから上がってこられる玉さま鷺の精が本当に美しい。
海老反りがどれだけ曲がるかとかそんな数字争いみたいなもんじゃなくて、それを越えたところの、真の美しさがいかに凄いか。

羽を広げる時、内側に閉じて丸める時の手から袖のライン、手のひらを大きく反って見せる部分のしなやかさとか、そういう一つ一つの動きや形がただそういうもの、というより鷺の精の内側の現れであって、心を鷲掴みにされるのが玉さまだ、と思う。

あと、肩から背中にかけて血が流れる場面。その前に糸をピッ!!と思いきりよく引くかっこ良さと、躍りの中の一部のように見える程鮮やかにひいてらっしゃるところに素敵を感じて、何度も再生してました(笑)


カメラも、通常の全体や正面から写すところと、舞台のきわ、ギリギリの最も玉さまに近く、かつ下からから写すところがあり、これが最高だった!!
雪に降られている感じ、鷺の精の世界の中で見ている感覚、何よりその鷺の精をあんなにちかくから観られる迫力と臨場感は、あのカメラアングルからでないと味わえないものだと思った。


カーテンコールの場面は入ってなかったけど、本当に考えて工夫をして作ってくださったことを感じた、素晴らしい配信公演でした。