やっぱりLiveが好き

目の前の空間を味わうのが好きな人の記録🍀

「十二月大歌舞伎」<Aプロ> 歌舞伎座 12/26

阿古屋

歌舞伎座での、玉さまの阿古屋、千穐楽

花道の出から、どの瞬間も、やっぱり「阿古屋」でした。一瞬出る、肩を落とした寂し気な時も、凛としている時も、重忠の問いに答えようとするときも、何気ないその動き、表情、すべてに、阿古屋の気持ち、阿古屋はどういう人であってどうあろうしてきた人なのか、それがにじみ出ていて、阿古屋以外の何者でもなかった。

阿古屋が景清とのなれそめを語る時、そのときの光景が見えるようで、阿古屋も景清も生きるその中に、二人が魅かれていった自然な流れも感じられて、なんて素敵な演目なんだろうなと思う。三曲を弾くことがクローズアップされるし、重要だけれども、この核の部分を感じられてこそ、阿古屋の気持ちが宿る三曲が活きるし、その曲から受け取るからあんなにも胸がいっぱいになるんだと思う。

「阿古屋」という作品について、こんな風に思ったことはなかった。今回、ここまで感じられるようになったのは、やっぱり玉さまが演じる阿古屋だからこそだと思う。

重忠の彦三郎さんも、本当に素敵なお声で、芝居自体スッキリしているのに根底にある優しさと強さが見えて、この方で良かったなぁと思った。亀蔵さんとお二人で、三月の阿古屋を支えてくださるのはとても楽しみ。

南座で、またこの阿古屋を拝見できる幸せを、一回一回、隅々まで感じられるようになっていたいと思う。