やっぱりLiveが好き

目の前の空間を味わうのが好きな人の記録🍀

十月大歌舞伎〈夜の部〉 歌舞伎座 10/9

ひさびさの歌舞伎座玉さまー!!!会いたかったよ玉さま・・・。

「孤城落月」

淀の方がそれまで抱えてきたもの、この先に迎えるもの、それらがどんなに重く壮絶なものか・・・その部分を常に抱えているこの役はそれを保つだけの精神力が必要だし、想像以上に大変なんだと思う。周りの者に対して常に疑心暗鬼にならなければいけない、周りを攻撃しているようで一番の孤独は自分だし、それでも守らなければいけない使命感というか、何に突き動かされているか、支えられているか、その最後の砦まで崩されそうになったら、錯乱もしてしまうのかもしれない。淀の方も、その人物が憎くて責めているわけでもない、どちらが悪いんじゃなくてそれぞれの守るべきものを守っているだけのことなんだよなぁ。ポスターで見た、内に物凄いものを抱えた淀の方、本当にそのままで、強く居る時も錯乱している時も、観ていて辛かった。今日は三階でそれでも十分感じられたけど、双眼鏡がちょっとぼけて見えるため(汗)、もっと近くで見てもっと感じてみたい。児太郎さんの正体を現した時の強さ、梅枝さんも声がよくてぶれなささが好きで、萬次郎さんも声でわかるし尼の包み込むような感じも温かかったなぁ。全然観足りない・・・もっともっと観たい。

 

「秋の色種」

八千代座と京丹後で観た「秋の色種」歌舞伎座ではどんななんだろう、きっと歌舞伎座に合わせた素敵な演出にされるに違いない、そう思ってたら思う通り、それ以上だった。配役の時点で、玉さま、他に児太郎さん、梅枝さん、の三人!どうもコタさん梅枝さんはお琴を弾くらしい、と聞いていたけど、幕が開く前から、練習の琴の音がぽろぽろ響いてきて素敵だったなぁ。

始まると花道から玉さま!!!三階だったから舞台に近いところしか見えなかったけど、かなりたっぷり花道で踊られていた。そこから舞台中央へ。玉さまの動く空間ってなんであんなに優雅で柔らかいんだろう。扇子、手、体全体が動くことで周りの空気が本当にやわらかにゆったり流れている感じがする。あの空気になりたい・・・。そのうち、花道から梅枝さん、児太郎さん登場。児太郎さんのほうが濃いめのお着物、梅枝さんの方が淡い色のお着物で、玉さまが花道までまるで迎えに行くように行って、二人と一緒に踊る。三人が同じ振りで踊りだすとき涙が出そうになるくらい。児太郎さんと梅枝さんが手を取り合って踊っていたり、舞台上へ行く時は玉さまが児太郎さんの手を弾いていたり。ため息が出そうになるし、何より見ていると息が上がる(笑)なんもしてないのに(笑)!

舞台上では大体玉さまが真ん中だけど、三人でフォーメーションが変わる。玉さまがススキを切って生けるところも健在。玉さまが座っているくらいの姿勢の時に、児太郎さん(かな?)が玉さまの方に着物の袂を置いて舞ったりするときも素敵なんだよなぁ。途中で玉さまは舞台袖に。二人はお琴のもとへ。最初は音出しの練習みたいに、でも音は合わせてゆるくポロンと。その後三味線と一緒に。お琴の音色、良い!!お二人、毎日凄く緊張するだろうなぁ。阿古屋練習中の二人だから、このような形にしたのか・・・わからないけど、お琴は凄く良かった。

黒いお着物の玉さまが舞台上に。このお着物、色が黒だからか、後は素材なのか、玉さまが動くたび、着物の裾の部分の揺れが美しくて色っぽくてそこを見てるだけでも素敵すぎた。裾だけじゃなくて全体が本当に素敵なんだけど、今日は玉さまにしか見られない裾のあの揺れに目がいった。