やっぱりLiveが好き

目の前の空間を味わうのが好きな人の記録🍀

「坂東玉三郎 初春特別舞踊公演」1/18,19 大阪松竹座 <賤の小田巻・傾城雪吉原・カーテンコール>

※追記です。千穐楽の日の口上で、
玉さまが「なんか」と仰った時があって、
文脈で必要な言葉というより、
玉さまの普段の言葉がふいに…?
と感じて嬉しくなった事を思いだしました(笑)
去年の歌舞伎座映像との公演の口上でも
千穐楽で「なんか」って二度ほど仰っていて。
「普段のお言葉!!!」と物凄く舞い上がって
しまった一言だったので、
ここに記しておきます(笑)
リラックスされてる時に出るのかなぁ。



演目の話の前に、松竹座で聴いた柝の音が
物凄くいい音で響き渡ってた印象が。
劇場のサイズなのか、歌舞伎座で聴くより
近く感じるからかわからないけど、
とにかく「くー!!かっこいいなー!!」と
始まる前にしびれる。
いつものこんな良い音を浴びてたんだなぁと
改めて思ったんでした。

〈賤の小田巻〉

静御前について、また背景がわかるものを
発見(今さら!)

白拍子 | 白拍子研究所

〽︎しづやしづ 賤のをだまき 繰り返し 昔を今に なすよしもがな
〽︎吉野山 峯の白雪 踏み分けて 入りにし人の 跡ぞ恋しき
この時の静御前は、都を追われた義経吉野山で別れ、その後捕らえられ鎌倉に軟禁されていました。お腹の子は殺され悲嘆に暮れていたところ、静の舞が見たいという頼朝をはじめとする鎌倉の御家人たちの所望がありました。全てを失い敵に囲まれながらも、一矢報いようとあえて義経への想いを歌った静御前白拍子としての気概が感じられます。

またさらに壮絶なことを経てのあの場面だった
と知ってちょっと愕然とした…


舞台は、背景の桜、おめでたい雰囲気のある
音楽の中で玉さまの静御前が舞うと、
その中に確固たる何かが根底にあり、
後ろ姿にしても、物凄い静けさの中に
力強さを感じて。
こういう演目を理解するのは難しいと
思ってたけど、何かを感じることだけでも、
その世界に触れることができていて、
結構大きいことなのかもしれないな、と
千穐楽の日にふと思いました。

勝四郎さん、特に「しづやしづ」からのところ、かなり高音になるところもあって
本当に物凄く気持ちよいのびのある唄で
特にここは何度でも聴きたいくらい。

もっと歌詞の内容や静御前の心の内が
どのように現れているのか、
そういったことを自然にわかるようになりたい
という気持ちが千穐楽まで残った演目。
もっとわかることができるのではないか、
と思っているので今後の課題。

〈傾城雪吉原〉

自分が見ている傾城は、単に物語の中の
一人の女性、というわけではなくて
傾城と同じ感情が自分の中にあって、
そこに共鳴して震えるんだと思う。
『ああいう体験なんてしたことないし』
というようなことではなくて、
何か共通する気持ちがあるからで。
まるまる一緒でなくても、思いのほんの先端の
部分に触れることでそう感じるのかもなぁと。

切ないのも嬉しさも寂しさも辛さも希望も、
指先までしなやかで柔らかい身体の動きで、
玉さまが生き表す傾城の魂、心を通して、
繊細に表されて美しく写し出されていて、
それを見て自分の中から溢れでるくらい、
たくさんの何かを感じて自分の中がいっぱいになってくるのがわかる。

小さいかけらかもしれなくても、
その片鱗であるたくさんの感情が
私の中にもあって。それを宝石のように
見せてくださってる気もして。
私と玉さまと舞台に関わるすべての人との
共同創造の世界が愛おしいなぁ、
と思ったのは、そういうことに気づいたのは、
玉さまの口上のおかげだと思います。


〈カーテンコール〉

幕が閉まり、拍手は止まず、
一度目のカーテンコール。
玉さまは座ってらして上手、下手にお辞儀。
後ろの演奏と唄の方々へも拍手を、と
手を差し出され、大きな拍手が送られました。
そして正面に向かってお辞儀をされ、
幕が閉まりました。

拍手は止まず、二度目のカーテンコール。
玉さまは、立った状態で幕が開き、
お辞儀をしてくださいます。
演奏と唄の方々への拍手も。
そして幕が閉まります。

さらに拍手がとまらず、でも柝の音も
止みません(笑)それでも拍手がやまず、
幕を開けてくださいました。

玉さまは舞台上にいらっしゃらず、
下手舞台袖から入ってきてくださり
真ん中に行かれるまでに、演奏、唄の方々
寄りに斜めに身体を向けている体勢で、
ありがとうというように両手を合わせ、
少し真ん中が空いていて、細長い三角を
つくるような柔らかい手の形で、
お礼をしながら、移動されてました。

客席からはあまり見えないような角度で
されていて、観客に見えるようにそうしている
というわけでもない。
心からのお気持ちと心配りに溢れたお姿を
目にして、凄くあたたかくて嬉しい気持ちに
なったし、この方を好きでよかったなぁ、と
またますます思いました。

上手へ行き、お辞儀をされ次に下手へ。
その際に真ん中をよぎりながら、
反対側へ進まれる時、客席をよく見ながら
移動してくださいました。
目は合いませんでしたが(笑)
そして下手でもお辞儀された後、打掛を
大きく後ろにふぁっさー!と広げて見せて
くださって、それがもうかっこよくて‼️
打掛披露の時とは全く別物で、
『素敵かつ優雅でカッコいい』という、
また別の玉さまの魅力炸裂!!!

そして、玉さまが唄と演奏の方々に拍手をと
手を差し出されると、1、2回目はキリッと
されてた田中傳左衛門さんが、
3度目のこの時は
「お、お辞儀やね、今ね」みたいに、
ニコニコされながらも、ちょっとキョロキョロ
してらして、演奏の時とのギャップがあって
かわゆいなぁと思ってしまいました(笑)

そして最初のカーテンコールの時には
マスクのようなものを皆様外して下さってて、
お顔が拝見できて本当によかったです!

玉さまが真ん中にお戻りになられたとき、
演奏、唄の皆様へ感謝の手を合わせた時と、
同じ手の形で、今度は客席へ向かって
「ありがとうございました」のように口元が
動いてらして、最後の最後まで胸いっぱいな
千穐楽でした‼️

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