やっぱりLiveが好き

目の前の空間を味わうのが好きな人の記録🍀

「開館40周年記念 人間国宝スペシャルトーク③」 4/29 MOA美術館

そのの続きです。

〈土屋さんの染めのお話〉

すべて植物、天然のものから染めているが、一番難しいのは「緑」の色を出す事なのだそう。植物には緑の物がたくさんあっても、あの緑がそのまま出ることは無く、緑を出すためには他の二色を混ぜるそうですが、それがとても難しいそう。

橋掛かりに掛けられた紋紗の色について、土屋さんにひとつずつたずねていく玉さま。一番奥は藍色が入っていて、「藍」というのは世界共通なのだそう。・・・ここでいう世界共通なのは色のことだったのか、ちょっと良くわからなかったのでなんとなくで💦

インド藍を使ってらっしゃるそうで、玉さまが「それはどういう形で(日本に)入ってくるの?」とたずねると、すでに粉末の状態で入ってくるのだそう。(玉さまがどんなことが気になったのかを書き残したかったので書いてみた(笑))

土屋さんがこの日お召しになっていたお着物は薄い黄色のように見えたけど、それは白い藤からとった色、と。この時のお話が玉さまに聞こえにくかったのか、再度お尋ねになった時、藤だということに驚かれていたけど「白い(藤)」というのが届いてなくてあの紫に近い藤の色と解釈されてた感じもしたので💦「白」と知る機会があってほしいな、と勝手に願ってました(笑)

 

〈日本の工芸品はすべて自然から頂いたもの〉

染色も漆も竹も、他も含め日本の工芸品はすべて自然、天然のものから頂いてできているものであり、人間が自然を支配しているのではない、自然から頂き生かされているのだということを皆さん仰っていて、

自然と常に関わり向き合っているからこそ、人間の意のままにできないものであったり、その偉大さに気づき、畏敬の念をもってらっしゃることがよく伝わりました。

人が作り出した不自然なものでどんどん自然を壊してしまうサイクル、それは本来循環していくべきサイクルからほど遠いものになっていて、今回の皆さんが実感されている「自然から頂き、生かされている」このことに全員が気づいていくほど、無理なくどこかにしわよせがくることなく、綺麗にまわっていくものであると思うし、直接お話を聞けたことで、知識だけや絵空事でなく本当のことである、ということを感じられました。

 

花柳章太郎さんのこと〉

玉さまのお話。『日本橋』の一石橋(いちこくばし)の場面での花柳章太郎さんが使っていた衣装の色が、地味に感じたり、逆に「なぜこの色?」と感じる派手な色?だったけど、舞台の場面に立つと、その場面の背景のココの色との相性がそれ以外考えられないくらいマッチしてたり、その色である理由、というのがわかるのだそう。演じる人自身、または着物を扱っている方(ちゃんと目利きが出来る人)に見てもらって、決めるのが大事だそう。

土屋さんもその場面、玉さまの衣装の色の良さや、裾のはまぐりと千鳥、うみのものと空のものがなぜ一緒に描かれているかについて玉さまに質問されてたので、やっぱり気になるところ、気づく場面がさすなぁ、と。(はまぐりと千鳥について玉さまがなんて仰ってたかは忘れてしまいました😂)

 

〈高めていくこと。日常で手にしてもらうこと、それが循環につながる〉

それぞれの作品作りについて心がけてることは、竹細工の藤沼さんは「小手先でうまく見せようとしたりすることはしない。」そういうところに神髄はない、というようなことを仰っていて、漆の室瀬さんは「表現として高めていく」。

着物がだんだん着られなくなっていっていることについて、玉さまは「花火大会でレンタル着物を着るひとが多いのだから、入り口はそこで、そこからもっと着てもらえるようになれば」と。・・・これは私が思うことですが(笑)、着物の着方がどうの、と初心者の方ことを指摘するような方もいらっしゃるけど、こういうお話を聞くと、玉さまはそういうことは思ってないような気がします(笑)

「歌舞伎」というその専門の世界の人に対して、若手指導の時に指摘したりするのは「当然知っていてほしいから」言っているだけで。間口広くして着る人が増えないと着物もそれを作る道具も素材も職人さんも、何もかもどうにもならないことを感じてらっしゃるからだろうなぁ、なんて思いますが…。

漆器やほかの工芸品も「日常で使ってください」と室瀬さんは仰ってました。「もったいないから使わず取っておく、という声が多いけどそれこそがもったいない。日常で使うからこそ良さもわかるし、メンテナンスの仕方もわかる。来客があるときには日常と別に用意しておいたり、そういった使い分けを視ながら、もっと取り入れて日常を心豊かに過ごしてほしい」と。

あと、室瀬さんのインタビュー を読んでいて

「木の器だと、陶磁器とは逆に、時間がたっても冷めないし、漆が塗ってあると蒸れないんです。だからゆっくり食べても、温かいご飯がそのまま、おいしいままなんですよ」

とのこと。あまりにも素晴らしすぎて、漆器使わない理由が見当たらない😂

 

そして土屋さんが「素晴らしいものにお金を使ってにもらえると、ちゃんと循環していく」ので「特定の人だけが注目されるのでなく、もっと全体(皆)をみてもらえることが必要」と。

特定の人というのは、どういう方かとおっしゃってはいなかったけど、例えば人間国宝に認定されたり、有名な人だったり、そういう自然と目立つような人にだけお金が行っていてその他の方は良いものを作っても苦しい思いをされてる、ということかなと。

『循環』の中には買い手(使う人)→売り手(作者、職人)→作る元となる自然→環境、人間・・・すんごくおおざっぱですけど(笑)メンテされたり適切に手入れされたり、自然も巡りが良くなる、環境がよくなることで人も生きやすくなる。そういったことに目が向けられ、意識しながらものを選び、心を感じながら生活する、そういったことが大事だと、お話を聞いていて感じました。

目先の損得でなく、先を見据えていこと。すでに遅すぎるくらいだと思うけど、今からでもそういったことに目を向けていきたいし、そういった人が増えていってくれることが本当に大事なんだと思います。

 

あと、お金と心の豊かさの交換について。「玉三郎さんの舞台を観ると、心が満たされて豊かになる」と室瀬さんがおっしゃったんですけど、玉さまは「私のことはまあいいんで」みたいに流れていっちゃうのが寂しく💦でもそういったことをちゃんと伝えて下さって、ありがとうございます、といった気持ちでした(笑)

 

そのへ続く