雪
京丹後公演で「雪」は観ていたものの、全体を引いてみるというより玉さまに集中して観ていたので、今回全体を丸ごと感じることが出来た。
舞台両脇にろうそくの灯、富山清琴さんの唄の何とも言えない深い味わいのある、とても渋い声がその世界感を創り出していて、こんなにも素晴らしい空間になっていたのか!と今回初めて気が付いた。
ろうそくとろうそくの間の、真ん中に佇む玉さま。途切れのないゆったりとした動きの中に感じる奥の深いなにか、そのなにかに引き込まれて、じっと見てしまう。
客席全体も息をのんでみているということが感じられるくらい静かで集中した空間。そんな空間、時を過ごせることがなんて贅沢なことなんだと思う。
玉さまの存在、踊りだけでなくシンプルな舞台、唄、楽器の音、すべてがあって、まるで異世界のような空間ができあがる。地唄舞というのは地味といえばそうだし、この踊りの感想を言葉にして表すことがとても難しいけど、空間、躍りを丸ごと感じるということがすべてで、心で感じるそのものが唯一だと思うと、贅沢な舞踊だと思う。
玉さまの踊りに集中して他を感じられなくしてた去年がもったいなかったと思う。今年は全体を感じられるようでありたいと思った。