やっぱりLiveが好き

目の前の空間を味わうのが好きな人の記録🍀

シネマ歌舞伎「鷺娘」上映解説会&坂東玉三郎トークショーその② 金沢歌劇座 11/14

歌舞伎の話。最初に大役を務めた頃のお話について

梅川さんが玉さまに「どのようにして歌舞伎の世界に入ったか」ということを聞き、玉さまがそれまでの流れを説明。
若くして大役が次々についたころ、ずっと喋りっぱなしのような役も多く、どのようにして台詞を覚えていたかという質問に、玉さま「昔は10回読めば覚えられた」そう。自分がその役でなくても、違う役で出ていた時にそのセリフを聴いているから、まるきり一から覚えるのではなかったそう。その今はもっと時間かかります(笑)と💦

来月の「阿古屋」について

玉さまが梅枝さん児太郎さんに「三曲できる?」と聞いたら「できます」ということだったので、今回のことになったそう。
玉さまだと二人が出来なくなる、でも例えば梅枝さんが25日全部できるかといったら難しいし、児太郎さんだけだと梅枝さんが出来なくなる。だったら、ということで今回のトリプルキャストになったとのこと。で、その形だったら玉さまご自身が阿古屋を演じない日に岩永ができる、と思い岩永がでの出演にもしたそう。
さっきの若い頃の大役で台詞が多かったということの対比の意味で「岩永は喋らないから(笑)」とも(笑)。
「今、阿古屋を演じることができるのは玉三郎さんただ一人だけ」ってよく言われることだけど、そのように言われるのはお好きではないそう。
「阿古屋と岩永ができるのは」…って言われるなら嬉しいそうです(笑)
で、梅枝さんと児太郎さんは、まだまだ(未熟なところも多いといった意味)だけど、見に来ていただきたい、と仰ってました。

演出など役者以外のお仕事について

梅川さんが「最近では鼓童の演出をされて」といったら「去年で鼓童の芸術監督は終わりになりましたが、昔から作ることが好きで、近所の子供たちに、「あなたはお母さん(役)、あなたはお父さん(役)」と指示をふる…演出とか監督の原型をそのころから好きでやっていたけれど、とくに照明がお好きだそう。
すると梅川さんが「今日も会場につくと照明をご覧になって」玉さま「綺麗に見ていただかなくては(笑)」というようなことを仰ってました(笑)
仰るとおり、昨日も暖かみのある橙がかった照明で柔らかく照らされていました。

至福の時間について

劇場に行くのが好き。この頃は自宅でのんびりなにもしない時間があるといいな、と。旅行もお好きだそう。
梅川さんが「海もお好きですよね?」と聞くと玉さま「昔、10数年前は潜ったりしていたけど、今はしていない」とのこと。潜ることのなにがお好きかというと「動物になったような感じになる」とのこと。
最後に梅川さんが、細かく短い質問を立て続けにしていて、そこから当日、会場で事前募集していた質問にお答えいただくコーナーへ。

質問コーナー用紙編

玉さまが質問用紙が入ったBOXから、一枚ずつ、どんどん引いていって、「じゃあ5枚で(終わり)」ということでそこでストップ。引かれた用紙を梅川さんがご自身の膝の上にのせて一枚落ちたりして(その時玉さまは、あっ、っとその行方を気にされてた)引かれた順ではなくランダムに置かれた用紙。
・・・来る前から「質問BOXがあるかもしれない!」!と思ってチケットもぎりの時にもらったチラシ束を見たけど、入ってない・・・
そのうち「質問を受け付けております」のようなアナウンスが聞こえる!!どこかにあるんだ、探さなきゃ!ということでロビーを見たらその一角にありました。一枚書いて、これじゃだめだ、もう一回、もう一回!と書きなおしてるうちにやっと三枚目で完成(笑)無事に投函しました。そして質問コーナーのこと。


Q.地方公演が多いかと思いますが、宿を選ぶ時に大事にしていることはありますか?
A.朝、明るくならない部屋。梅「それは、どうしても(はずせない条件)ですか?」玉さま「・・・はい、そうです」溜めはあったけれど、絶対、必須です!といった感じ(笑)
梅「他には何かありますか?」玉さま「あとは、料理。」「日本にはなかなかないけど、滞在型の宿。そうすると、お料理等が大事になってくる」とのこと。


Q.生まれ変わったら、何になりたいですか?
A.「こんなこと言うと、気持ちを暗くさせてしまうかもしれませんが・・・生まれ変わりたくないです」梅「動物とか人間以外もですか?」
玉さま「罪深いと動物になったりするそうだけど、もうこの世に出てきたくない。だったら今修行して生まれ変わらないように(する)」とのこと。「難しい世の中になってきているので、生まれ変わるのはもういいです」
玉さま「梅川さんは?」梅「読んだときは面白い質問だなと思ってましたが、難しいですね・・・」玉さま「でしょ?」
それでもごにょごにょ考える梅川さん(笑)それが続くと玉さま「早く答えてっ」玉さまのどS炸裂!!(笑)この間が、言い方がたまらなかったです(笑)
その直前、矢継ぎ早に質問をしていた梅川さんに対して玉さま「ね?どんどん質問に答えるのって大変でしょ?」(笑)梅川さんも身に染みたようなお返事をされてました(笑)
結局梅川さんも「僕も、生まれ変わりたくないです」に対し玉さま「よかったです(笑)」と(笑)


Q.好きな映画はなんですか?
A. 覚えきれなかったので割愛💦「若者のすべて」「インドへの道」などでした。映画の話は2日間くらいかかってしまうのでここまで、と(笑)


Q.  日本の芸術、伝統は長い修練が必要だと思いますが、現在はすぐネットで調べられるような即席な時代。それについてどのようにお考えですか?
A. 「大問題です。私の衣装、刺繍などを作っている方も、当代までしかできる人がいない状態です。人と人とが会わない時代になってしまったが、何かがうまれるので人と人とが会っていく時間を過ごしたい。千年前のものが今はないように、戻るのは難しい。お仕事を受ける際、直接会って作っていくことが重要」


・・・最初の二問が意外な所から変化球来た!というような質問で、聴けて嬉しかったなぁ、いい質問!と思っていたので、4枚目まで読まれてあと一枚。もし自分のじゃなくても、まぁいいか、と思ってはいたんです。読まれたらいいなあとは思いつつも。そして梅川さんが読み上げる5枚目。まず、名前から読まれるんですが・・・私が書いた名前と同じ!!!もしかして!!と思って聴いてたら・・・私が書いた質問だった!!!!嬉しいー!!!!刈谷に続く二回目!!こんなことってあるんだ!と思って、またしても心臓がバクバク状態(笑)でも、お答えはしっかり聞かねば!!!と思って必死に聴いてきました(笑)


Q. 「去年の八千代座での鷺娘、大変感激致しました。久しぶりに鷺娘を(一部)踊った感想を教えてください」
・・・この質問は、金沢に来る前に、同じく金沢に来る友人と「もし質問があったら何を書こうか」と言っていた時に友人から出た質問。
私も同時にこれを聞きたいと思っていたので、迷うことなくこれを書いた。当日、友人は来られなくなってしまったので、後から考えると、本当にこの質問をして、読まれてよかった、来られなかった友人が聞きたいことが聞けて伝えられるなんて本当に良かった、とひいてくださった玉さまをはじめすべてに感謝したい出来事でした。
最初はいきなり本題の感想部分のみを聞く文だったんだけど、八千代座の感想書かねば!!と思い、感想を加えそのために何度も書き直したのでした(笑)
でも、その甲斐があって、梅川さんが読んでくださっている時から、玉さまが嬉しそうというか、明らかそういった感じで聞いててくださるのがわかって、感想書いてよかったー!!と思った!
でもその感想のあるなしではなくて、去年の八千代座、映像×舞踊公演が好評だったことに対する喜びという、全体に対する喜びな感じがしたんだけど、なんにせよ、その一言を書いておいてよかった(笑)
私の後ろの席のおじさんも「あー!」みたいな感じで「だよねだよね!!」という空気が生まれました(後ろを振り返ったわけではないけどそんな感じがして(笑))


はい、で玉さまの回答
A. 「踊れるところだけをやりましたが、全部踊るより、楽(笑)皆さまにお許しを頂いてやらせていただきました。何度もお客様に来ていただいたり・・・好評で、さっきの質問の答え、人と人とが、の話をしておいて、人と映像の話ですが(笑)、シネマ歌舞伎は今の技術のいいところ。皆さまの前でお見せできるのは有難いことです」と。

…玉さまが、ネガティブな気持ちが出るどころか、去年の公演をそのように受け止めていたということがとても嬉しかった。できないこと、ではなく、「可能」という視点で、喜びの気持ちでいてくださったことが、本当に本当に、嬉しかった。

私、刈谷でも質問二つ書いて、また今回も二つ書き(笑)、読んでいただけました(笑)ありがとうございます、梅川さん!!!


Q. 「もう一問質問が。今一番行って見たい場所、やってみたいことなど何かありますか?」
・・・心とか生き方とか、そういう質問がいいかと一瞬思ったんですけど、玉さまが気持ちがふわっと希望の方を向けるような、明るくなるようなことを書きたいと思って、この質問をしてみました。
A.  「もう叶わない事ですが・・・シルクロード。思想、文化の流れなどを、自分の目で見てみたいです」
・・・すっごく意外でした。「ない」というお答えかもなぁ、とちょっと予想していたけど、叶えることは難しくても、玉さまのなかに、これ、というはっきりとしたお気持ちがあるものが存在する、そのことが私は嬉しかった。
玉さまが様々なお仕事をされてきて、していて、最近ではたまにだけど、刹那的なところも言葉の端々に感じたりするので、
その何かがある、と言うこと自体が私はほっとしたし、そのことを知ることが出来てその質問を出来てよかったな、と思ってます。


用紙での質問が終わり、まだ時間があるとのことで、次はその場で挙手での質問になりました。③へ続く。