やっぱりLiveが好き

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シネマ歌舞伎「鷺娘」上映解説会&坂東玉三郎トークショーその① 11/14 金沢歌劇座

前半にシネマ歌舞伎を見て、後半にトークショー、と書いてあったので、てっきり最初から鷺娘が始まるかと思っていたら…

幕があがって、真中に大きいスクリーン、両脇に大きいスピーカー。下手から梅川壱之介さん登場!っていうことは…梅川さんのご紹介で上手から玉さまご登場!!
しかもお着物姿!!MSD の楽屋バージョンの時かそれより暗めのベージュのような色のお着物(わかりにくいけど良い色…💦)に、下の袴はお着物とさほど色はかわらないけど、それにものすごく落ち着いた深めの緑が入ったような色。
今回が妙成寺五重塔建立400年記念をしめくくる、最後の行事だそうです。
それもあってか、鷺娘の上映だからか、お着物で登場してくださったのかもしれないけど、玉さまのお着物姿、素敵…。

今回は、梅川さんが妙成寺の方と交遊があり、玉さまへの出演要請に至ったそうです。玉さまは、梅川さんから県立の行事要請ってなぜだろう…と思っていたらしい(笑)
梅川さんのお友だちのその方と、あとその方より年上の方なのかな…恐らくご住職だと思うけれど、そのご住職の方と玉さまが話したとき、「こういう風に言うと失礼かもしれませんが「無垢」な方」と表現していて、そう表現される方というのは、とても素直で素敵な方なんでしょうし、その表情する玉さまもクリアで曇りのない目で見ている、というような感じもした。

妙成寺は妙成寺そのものの始まりからは700年、五重塔建立からは400年経っているそうで、今でも建立当時の姿を残しているのだそう。歌舞伎よりも古くから(妙成寺のはじまりが)、(五重塔)は400年もの間立て直しされていないというところに感心されてた。

この妙成寺の良さを伝えるには、動画のほうが良い、と思って真っ先に今回作られたそう。
五重塔は木肌が素晴らしく、重みがありながら威圧感はなく軽やか。」と。
説明がいったん終わった後に、妙成寺五重塔建立400年の動画がスクリーンに流れた。
ネットにもあがっていたもので、動画は気持ちいいくらい広い場所に木に囲まれた五重塔がそびえ建っていて、そこにたどりつくまでの石段や建物の雰囲気のよさ、スケールの大きさがよくわかるように撮影されてる。
そこにお着物の玉さまが訪れる、という動画だけど、風が玉さまの髪を揺らしていたりして、雰囲気がすごく伝わる。で、この撮影時は8月で暑かったけど、玉さまは車の中にいて撮影の時に外に出たから、「涼しげな顔をしてる(笑)」と仰ってました(笑)。

今年の五月に、このお寺のお祭りがあって、梅川さんは舞の奉納をしたということで、それを含むお祭りの様子VTRも流れたんだけど、加賀友禅大使の女性の方たちが豆まきみたいに境内からなにか投げていたときの様子を見て、
梅川さんが「友禅の大使の…」と言ったらそのあとに聞き返した玉さまの一言「太夫?」…玉さまだから聞こえるこの空耳!!…太夫がとっさに浮かぶって玉さまならではのような気がする(笑)

鷺娘の事前解説のお話しがここであって、玉さまが「うちのもの(付き人さんとかですかね…?)に、「鷺娘でなにか聞きたいことってある?」と聞いたら、「鷺娘はどういう人(人物)なのか?」と言われたけど、そういえば今までどんな人物なのかわからないまま踊ってたな、と思って」という意外なお言葉。
…確かに鷺娘ってその人物像というより、その時の情念とか、そういうほうが前面に出てるからかな。
ここで実際のシネマ歌舞伎のはじまり。

終わって休憩後、再び玉さまと梅川さんご登場。玉さまはお着物から上下茶のベロアのような生地のスーツに着替えてくださってました!

鷺娘について

まず玉さまからは、踊りは軸が大切で軸がぶれなければ重い衣装を着ても軽いものを着ているように見せられる、とのこと。
そして梅川さんからの質問。まずは後半に鷺になった時、背の部分に血が流れるところのこと。血の部分は赤い綿を縫い込んでてその部分をおおうように着物の布が重ねられていて、糸を引っ張ると(取ると)布が開いて血が流れているように見える、というしかけ。
そのことを聞いた梅川さんが、客席に「皆さん(映画を見ていてその仕掛けが)わかりましたか?」と聞いたら
玉さま「わからないようにやっているんです(わかられては困るもの)」「突っ込まないとね(笑)」って仰ってた…
突っ込み…玉さまからそのワードが出るのが新鮮!「玉さまが突っ込みって言うんだ!」みたいな(笑)

あと、葛からこめかみ辺りの髪の一部をひゅっと出すとき、せんをぬくときのこと。
昔は今でいうプラスチックのようなもの(くじら、だそう。当時は貴重なもの)でその髪をとめていたから、そのへんにすててうっかり踏んだら割れてしまうし、自分の袖にしまっていたと。さっきの糸もそうだけど、そういったものをそのへんに捨てるのは行儀のわるいことと見なされていたそうです。

等伯の絵

玉さまは長谷川等伯の絵がお好きで、その長谷川等伯の絵が妙成寺にはあるそう。(お寺所有で美術館に寄贈されてる)
で、その実物の絵の涅槃図を今回会場に持ってきて、妙成寺の住職が説明してくださった。
ご住職が登場されると玉さまは立って話を聞き出したのでそれをみていた梅川さんも( ゚д゚)ハッ!!としたらしく、同じように席を立ってました。こういうときサッと立てるのがやっぱり普段からそういう意識でいらっしゃるんだなぁということがわかる気がする。
絵の脇に立って説明していらした住職の近くに玉さまとたちも移動。最所は上手側に玉さまと梅川さんが固まっていたけど玉さまが促して梅川さんは下手側へ。
実物は結構大きくて「大きいのねぇ」って玉さま仰ってたり梅川さんに、なにか話しかけていたり。
なんでもないときの玉さまウォッチングも楽しいしみていると意識の届いている範囲も広いし、やっぱり気遣いの人だなぁと思う。

思い切り私の感想、というだけの話なんだけど、涅槃図のお話。お釈迦様の入滅のとき、お母さまたちが上から薬を投げたものが木の枝に引っかかっているのが描かれている。そこから「投薬する」と言う言葉が出来たそう。その2へ続く。