やっぱりLiveが好き

目の前の空間を味わうのが好きな人の記録🍀

「坂東玉三郎 映像×舞踊公演」八千代座 11/1,2,3 <口上>

今年は昼の部の一公演。去年はほんの少しの時間が空いただけで夜の部もあったなんて、本当に贅沢だった。感じきる前に次が来てしまうという(笑)でも今年もとても濃い贅沢で楽しくて最高な時間だった。

 

 口上の時の玉さまの拵え。凛としていて素敵で、スッキリとしたお顔と大きく開いた目で客席をしっかり見てくださり、お役の時とはまた違う、クリアなお声。登場してくださるだけでその場がパッと華やいで、第一声を聴いただけで、心底幸せな時間だなぁと思う。以下レポと感想ごちゃまぜ💦

 

・「毎年お話させていただいているけれど、また来年、といっているうちに八千代座で公演をさせてもらうようになってから28年、約四半世紀。こんなにも長い間こちらで公演することになるとは思っていなかった」と。

昔から芝居を観ることがお好きだったからということもあり、お客様がいらっしゃらないときに客席にすわってみることがお好きだそうで、そこに座って来年何をしようか考えたりするそう。会議室や楽屋ではなくて、客席の方が、ああしよう、こうしようとかアイデアが降ってくるそう。

 

・29年、30周年に向けて何をしようか考えている、とのこと。

1日、2日の日は、その二年をやり切るために、と、その先のことは何も仰っていなかった気がするけど、どことなくそれで区切りをつける、というような感じがしていた。

何とも言えない気持ちで、ただその空気ごとまるごと感じてた。そのお話になると気が遠くなりそうになるのでなんだかはっきり覚えてられなかった💦

 

・3日の口上では「29年、30周年、その先は、公演を手掛けさせてもらうかもしれないし」と今までと違う形で関わるかもしれないということなのかなと感じる発言のあとに

「29年、30周年、と実際にやってみないと、その先のことは何とも言えず、はっきりとしたことがお伝えできなくて申し訳ない」と仰られてた。

おしまいにする演目が、実際に演じてみないとわからないように、このことも同様にお考えなのかもしれない、と思った。3日の日は、会見の時や1日、2日目の時のような「区切りにします」という感じではなく、やはり求められていることは十分すぎるほど感じていらして、その声にこたえてくださろうとはしているものの「お客様にみっともない姿をお見せするわけにはいかないので」と仰っていて、だからこそ来年再来年をやってみて、それで初めてその後のことがわかる、ご自身でどのようにされるか、判断したい、というように聞こえた。

・・・2日の日には、「昨日宿でじっくり、(今後のことを)考えていたんですけれども」ということを仰っていて、そのことをお話になった時の、玉さまの声のトーン、力の込め方、そのお話されている全体から、本当に真摯に、毎日のようにどうすべきか、考えてらっしゃるのかが目に浮かぶようで、こんなにも受け止めて考えてくださっているんだなぁということが感覚でわかった気がする。

3日になって初めて、玉さまがそれまで再来年後について触れて来なかった理由を仰ってくださったこと、その思いの中心部分を明かしてくださったように感じて、やっとそこに触れることができたように感じた。

玉さまを望んでいる人たちの気持ちを受け取ってくださろうとしている、それがわかって有り難くて、玉さまの発してくださるその大事な一言一言が、本当に心に響いた。

 

・1日の日は、蛍のお話があった。蛍が出る時期の公演の時(5月頃)には地元の人の案内でたくさんの蛍が見ることができたそう。その場所の一つに、「一目神社(ひとつめじんじゃ)」をあげられていて、今調べたら「ほたるの里」と案内があるところが参道の入口だそう。

時期が過ぎると山の上の方に出没場所が移っていくから、地元の人からの「今日はどこに出た」っていう情報をもとに、その時蛍が出るところまで連れて行ってもらえたそう。ある時、玉さまが、川?の向こうに草の辺りに、何となく光ってみえるようなところを見つけて、そこを見てみたら蛍の大群がいたそう。その時の様子を語る玉さま、玉さまの選ぶ言葉が、その光景にとても驚き感激された感じを伝えてくれて、本当に素晴らしい景色だったんだろうなぁと思った。今では10分の1?くらいに減ってしまったが、昔は本当にたくさんの蛍が、この地域では見ることが出来たとのこと。

・・・このお話を聴いた後で、山鹿にはたくさんいいところがあるから、自分が公演をしなくてもいらしてほしい、ということなのかな、と私は受け取っていたけれど、純粋に、こういういいところなんですよ、とお伝えくださったのかな、とも今では思える。三日の日には、最近では有名な観光場所以外の所も、個人でネットで調べて来られる時代だから、以前とはまた形が変わってきている、と。今では他の方が巡業などで八千代座に来てくれていることの仰っていて、そのように人がこの地に来てくれることに安心をされているのかな、と思った。

・・・でも!他の方が来てくれるからいいとか、そういうことじゃないんです玉さま!!ってことを、あとで暑苦しくここに書こうと思います(笑)

 

・毎公演、始まる前は緊張なさっているそう。

「緊張なんてしないように思われるかもしれませんが(笑)、今日の公演が無事に終わるか、そのことを毎日考えています」とのこと。緊張しなくなったら成長しない(よい役者にはなれない、とかそういう内容のこと)とも言うが、

「何も成長したいから緊張するわけではなく(笑)、自然とそうなってしまう」のだそう。玉さまもときに笑いながらお話されていて、でもそのお話から、そういったお気持ちで、毎日真摯に舞台を務めてらっしゃる様子が十分すぎるほど伝わってきた。

 

・今回の演目について。もともと、最初に鏡獅子、後に藤娘だったけど、順番を逆にしたとのこと。というのも、藤娘でご挨拶をして終わるつもりでいたが「玉三郎が獅子の役をするのか、という問い合わせをいただいたので、獅子を少しやらせていただくことにした」そう。鏡獅子→藤娘、だと、「(化粧を変えるのに時間がかかるので)お客様をお待たせすることになる」ので逆にしたと。

・・・去年の幽玄でお獅子を演じてくださって、今回の鏡獅子では、弥生の部分をやりますって事だったので、当然そうだと思ってたら、当日になって知るサプライズ。嬉しいというか驚きでよくその問い合わせをしてくださった!!それがなければお獅子はなかったんだもんなぁ。言ってみるものだし、それに応えてくださった玉さま、本当に有難い。

 

・「昨年、この映像×舞踊公演に好評の声を頂いて・・・自分で好評というのも(笑)」って笑いながら仰ってました(笑)

・・・去年は、昼、夜二部で夜来れる人がなかなか多くはなかったのかもしれないけど、空席がもったいないと私も思ってた。でも今年はたくさんのお客様が入っていて、去年の評判というのもあるだろうし、その光景を玉さまに観ていただけて、観客としても嬉しかった!