やっぱりLiveが好き

目の前の空間を味わうのが好きな人の記録🍀

「贋作 桜の森の満開の下」9.5 東京芸術劇場プレイハウス ソワレ

超豪華メンバー。しかもみんな好きな役者さん。こんなに集めてしまって!!という、もう発表の段階から期待でいっぱいだった。たまに豪華なキャストなのにもったいない芝居があるからどうなんだろう、とほんの少しだけ思っていたけどもう期待通り、期待以上。

深津さんの夜長姫が鬼の面をかぶり、桜の木の下で耳男に問いかける最初。深津さんの第一声を聞いただけで、あぁ深津さんだ、夜長姫だ!ってぞくぞくした。以前に観たときは17年も前なのに、ものすごく感激したっていう印象しか覚えてないのに、この声が夜長姫だ、って確信のような感覚。深津さんの透明感、あの声。他の舞台でも深津さんを拝見しているけど、夜長姫のあまりにも透明、ピュア、そこからでる恐ろしさ、それが深津さんだ、これが深津さんだ!って感じた。

妻夫木さんの耳男。若さと青さが夜長姫の相手として凄く良くて。耳男が最後に夜長姫の死を悲しむところ、あの場面でなにかがどかんと自分の中に入ってきて、心、体、どちらだろう・・・入ってきた何かに対するその反応として唇が震えて震えて止まらなかった。涙も出そうになるけど、でも泣いたとかそんなことではなくて、感激というとあまりにも言葉が足りなくて、こんなに心が震えることなんてあったかな、って思うくらい、これを観れた私で本当に良かったって心から思った。こんな体験なかなか出来るものではない。あの感覚がなんなのかもわからない。震えすぎて止まらないようなそんな舞台が今ここにある、なんて凄いことなんだろうと思う。

その最後を観た後に、最初の「夜長姫が鬼の面を被って(ふりをして)いる」と思ったところが、そうではなく、あれは「鬼」だった、と思った。鬼であり夜長姫でもあるのかもしれないけど、とにかく「鬼」だったんだ、って。

藤井隆さんは他の舞台でも存在感があって舞台を底上げし引っ張ることが出来て、すごい役者さんだなと思う。大倉さんも唯一の存在感だけど、二人で掛け合ってても負けることなんてなく対等に本当に二人とも面白くて。秋山さんとの組み合わせの時も良かった。笑いのところでもシリアスでもどちらもどっちも良くて。麦ちゃんの可愛らしさ純真さ、成志さんは成志さんでありつつ(笑)古田さんもさすがで、天海さんの存在感も聡明で邪のこころも持ち、そういう役は初めてで新鮮だった。お名前を存じ上げない方達もすごく良かった。舞台の上で活き活きと生きている人達だった。

紙や布や紐を使う演出。これらが、トータルでものすごくよかった! って見終わった後に感じた。野田秀樹って凄い。何回も書くけども。こういう方がいらして演出した舞台を観られるってなんて最高なんだろう。今生きている私たちって本当に幸せ者だよ。舞台って凄い、演劇って凄い、改めて、改めて、体で感じた。とにかく凄かった。桜の森は凄い。またこの気持ち、記憶が塗り替えられた。