やっぱりLiveが好き

目の前の空間を味わうのが好きな人の記録🍀

「修羅天魔」ステージアラウンド 3.22/4.12ライブビューイング

20何列目という遠ーい席とライブビューイング

タイトルバックを背負う天海さんはめちゃくちゃカッコイイ。そこから続くスクリーンを背景にして太夫が歩いていく回りながらのOP,デーモン閣下の歌がまた良くて!!そこに太夫からあふれる大人な魅力を絵にした背景、それがとても美しく、さらにこれから起こる天魔王との対峙、迫りくる追手のようなイメージの背景が気持ちを高ぶらせるし切ない。このOPが本当に大好きで、この背景の前で歩く太夫に気持ちが入っていくし、何より素敵だった。ライビュで見ていたら、最後の方、太夫の気持ちが感極まるような表情が写っていて、それは生で見ていた時にはわからなかったからライビュの良さだと思う。

竜星涼君は、若衆太夫という設定を初めて知ったのもあって最初はその役になじみがなかったけど、話を一度見て振り返ると納得。この夢三郎がやっぱり大きい。一度話をすべて見た後に、正体を現す前の無界のシーンではどうなのか、あくまで何も見せないんだよな。きっぷのいい主人。天魔王の息子だということがわかったあと、その期待に応えようとする姿が悲しかった。父がすべてで疑うことをしない、そんなことなどあってはならない。だけど兵庫との一騎打ちで兵庫の思いが届いてその気持ちに隙ができたのか。ポーカーフェイスで表情には出さないけど、だからこそ父についていく自分を貫きたくて自害したのかもしれない。 無界屋襲撃のシーンも、わざと楽しんでいるというか、そう思おうとしてそう振舞っている、そう見えた気がする。

兵庫の福士さんはその役柄とビジュアルがぴったりで、無理を感じさせない自然さがすごくよかった。今までの太夫に惚れる兵庫、という設定ではなく、夢三郎の男気に惚れて義兄弟の契りを交わすまでに惚れこみ、裏切られ、それでも真正面からぶつかっていく、そのことが今回の話にまた厚みを増してたと思うし人と人との対峙がやっぱり面白いなぁって再確認した。

山本亨さんの狸穴も、どれが本性か読めない家康という器にふさわしい設定になっていて、他の髑髏の時の家康よりもさらに踏み込んでいてこの人物像が良かった。ライビュでは天魔王を倒しに行く時がアップで写されていて物凄くかっこよかったし。

で!贋鉄斎とカンテツ(笑)!!!登場人物をあまり確認しないまま行ったから、まさかカンテツが出てくるとは!!「タナカさん?」になつかしー!!!って思ったし、逆木さんの贋鉄とのやりとりはさすが。とくにアドリブということもなかったと思うけどそれがなくても安定して笑える凄さ。逆木さん三宅さん最高。

清水くるみちゃんもよかったー!!動けて快活で気持ちがまっすぐ。乱鶯のときも良かったけど、今回くらい活躍する方が合ってるしこれからもまた出てほしいと思える人だった。

荒武者隊。無界屋襲撃の前に荒武者隊の皆が楽しそうに踊り歌うシーンがあるけど、そのすぐ後に起こることを思うとそのシーンを見ているときゅーっとつかまれる思いがする。こんなに楽しそうなのに、ああなってしまう。どんなにやられても一人一人、兵庫への、弱い者を守るんだというその思いを持ちながらが戦う姿が、こんなにもじーんとくるものなんだなぁって、その気持ちの熱さとストレートさが凄くかっこよかった。ワカ花鳥月で毎回思ったけど、荒武者隊はそこがいいし、毎回彼らの姿に涙出そうになる。それくらいあつく演じていているからこそ届くんだろうなぁ。

古田さんの天魔王。ワカ以降の天はエキセントリックさを際立たせるものだったけど、今回の天にそれは必要ない。動かない、ずっしりと、自分はそこに居て周りを動かし、使い、捨て、自分の願望を叶えようとする。無駄がない。無界屋にふらっと表れてすべてを告げていく、その落差が底知れない怖さを感じさせて今回の古田さんの天だからできることなんだなと。清十郎へ釘をさすところ、そのセリフ一つですべてお見通しであり切れ者だということを示してるっていうのが鳥肌もの。自分を亡き者にしようとしたものを消していく、天下を取る、その欲はあれど、お蘭への執着への比ではないんだよなぁ。その執着心が一番こわかった。

そして川原さんの清十郎。本っ当によかった!!かっこよかった!!!太夫のお目付け役から太夫を守り、その心意気に触れ主君から離れ、ともに生きようとする・・・ってカッコイイにもほどがある!!!今回、この川原さんのキレのある殺陣があるともっと観ていたいって思った。その殺陣はもちろんだけど、やっぱりこの役が、そしてその役を演じる川原さんがとにかくかっこいい。髑髏城の七人、というタイトルではなくとも、天魔王を倒しに髑髏城へ向かう者が六人で、あれ・・・?とは思ってたけどまさか清十郎が加わるとは。その辺りの意外性もゾクゾクした。

最後、天海さん。新感線の舞台のセンターを張れる女優さんはやっぱりこの人しかいない。最初のタイトルバック、あまりのカッコよさにそれだけで涙が出たし、そこからの後ろの背景を使ったOP、ご本人と背景のスクリーン、そのふたつが心情と役の背景をあんなにも素敵に表したものってそうそうないだろうな。だから劇場全体をつかって太夫を、これからの太夫の行く道を表していて、ただ素敵なだけでなく、綺麗なだけでなく胸に迫るものがあってそれが孤独さも浮き彫りにしていて切ない。でも実際は天魔王がこうあってほしいと願う選択をするような孤独な太夫ではないし、沙霧や皆が接して感じた、人を大事にし人を思う太夫、だからこそ皆が太夫のために自分も戦おうと加わってくれる。それが最後の無界屋再建の皆の思いにつながるんだろうなと。今までの花鳥月の髑髏は、皆が個々に己の幸せを生きるラストになっていたけど、今回は皆がここから、ゼロから、作っていくんだというとても清々しいラストでこんなに嬉しい話はないなと思った。偽の天、天魔王に気づき冷たく目を開けるその表情も凄すぎた。ライビュではっきりとそれを見れたのは有難い。

花鳥月では、最後のエンドロールで360度、すべてを次々に開けていく演出だったけど、極だけはそうではなくく、その前に太夫が今までのことを振り返り、想いをはせる、涙する・・・そういうシーンになっていたのも、太夫の気持ちをそのまま感じられるようでその演出が本当に良かった。

顔見世のシーン初め華やかな姿も、一人の人間として迷いもがく姿も、確固たる思いをつてその確信とともに生きることを決めた姿も、どの太夫、天海さんもかっこよく素敵だった。

カテコは宝塚ばりのご挨拶を見せてくれる天海さんが優雅!!ライビュではカメラに手を振ったりスクリーンの向こうにいる私達にも気遣ってくれるしさすが。髑髏のしめ、本当に楽しかった。最高だった!!