やっぱりLiveが好き

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「十二月大歌舞伎<第三部 瞼の母 楊貴妃>」歌舞伎座 12/21,26

瞼の母

玉さまのおはまさんが、その日によってだいぶ演技が違っている、という話を聞いていたのだけど、本当にその通りだった。収録が入っていた21日はわかりやすいような感じで演じてらっしゃったけど、千穐楽では表に感情を出すことを抑えることで思いの強さがわかったり、忠太郎とのやり取りの中で身をのりだしそうになるところも今日は涙を拭いてらっしゃった。

筋書を読んで、改めて、理解できていなかったなと思ったのが、おはまさんが堅気でない忠太郎に気を許すことで負うリスクの大きさ。水熊という商売もお登世のことも大事だからこそ、忠太郎にああいう態度を取らざるを得なかったんだなと。忠太郎に「なぜ堅気になって出てきてくれなかったのか」という言葉にとても思いがこもっていたこと、あんなにも詰め寄ったその真意が、堅気であれば忠太郎を迎え入れることができたのに、という忠太郎への強い思いの裏返しだったんだ。

楊貴妃

楊貴妃で使われているゆったりとした曲、そういう曲でこんなにも優雅に踊れる方が他にいらっしゃるのかな、玉さま以外いないよね・・・って言いたくなるくらい、広い舞台いっぱいに玉さまの楊貴妃の世界が広がってた。くるっと回る時に動く長い黒髪が素敵で、あの曲と共に幻想的な世界があった。今まで、八千代座でも演じて来られてきたそうだけど、あの八千代座で楊貴妃を観ることができたら、どれだけの衝撃を受けるんだろう。歌舞伎座だって、三階からだってどきどきが止まらなくなるくらい高揚しっぱなしで大変だったのに。いつか八千代座で観てみたい。楊貴妃はこれで終わりなんてことにしないでほしい。ずっと観ていたい。八千代座での楊貴妃、という夢がどうか叶ってほしい。もう観られないかもしれないと思っていたものが、この年に、楊貴妃の曲を作曲されたかたの追善公演が行われたご縁で楊貴妃を踊られることになり、そして歌舞伎座で演じられたからこそ観ることができた。本当に幸せな時間だった。こうして繋がってきたものが、どうか終わらず続いてほしい。